「ふんふんふふふーん!先輩部屋にいるかなー!」 試合の後、僕は愛しの先輩のもとへ行こうと廊下を歩いていた。 試合にも勝利し、これから先輩に会えるということで、とてつもなく幸せを感じていたのだが。 「あーれ、誰かと思ったら変態かよ」 いつもの憎たらしい声が聞こえてきたと思い後ろを振り向くと、そこには。 「ご先祖様……」 「よっ、変態」 片手をあげて、まあまあイケメン(マルス評価)が一人。案の定、先輩のご先祖様がいらっしゃいました。 「だから、僕は変態じゃありません!」 「変態だろうが」 「違います!」 いつもの言い合いをし互いに睨み合う。 普段は先輩の奪い合いをしたり更には取っ組み合ったりすることも少なくないが、今は先輩がいないから言い合いだけで済んだのだけれど。 「これからあいつのところに行くのか?」 「そうです!せっかく二人きりでランデブーしようとしてるんですから邪魔しないでくださいね!」 「まあまあそうがっつくな。嫌われるぞ?」 「なっ……がっついてないし、先輩は僕にベタ惚れなので嫌われるなんてありえません!」 「まー、すごい自信だこと」 僕が自信満々に言った言葉を鼻で笑うように、苦笑を顔に浮かべながら、僕を見ていた。 「もういいですか?僕は早く先輩のところに行きたいんです……!」 「待った、」 「ちょ、っと……!」 正面に向きを変え、先輩の部屋に行こうとすると、ご先祖様は僕の腕を掴んできた。 「なっ、離して、く、だ、さ、い!」 「だから待てって、」 「待てるわけないじゃないですか!これから愛しの先輩のところに行くんですよ?!一刻も早く行きたいんです!」 早く先輩に会いたい、その一心で強い力で腕を離そうとするけど、さすが先輩のご先祖様、勇者をやっているだけあって、力の強さは半端なく、僕の力でもびくともしない。 「なんなんですか!離してくださいよ!」 「なんだ、そんなに俺に触れられるのが嫌か?」 「嫌です!僕は貴方なんか大っ嫌いです!!」 「ふーん……ま、俺はお前のこと、嫌いなわけじゃないんだけどな」 「えっ……?」 一瞬寂しそうな顔をするから、僕は驚き、腕の力を弱めた。 それに、僕のことが嫌いではない……? それじゃあ……。 「え、それはどういう……?」 「そのままの意味、だ」 「うわっ!」 掴まれていた腕を引っ張られ、自分の顔面とご先祖様の顔面が勢いでくっつきそうになった。 「え、え、ええっ!?」 「うむ、確かにイケメンだな、お前は」 「な、に……」 「ふーん……惚れちゃいそう……かな?」 「はあっ!?」 「ま、お前があいつに纏まりついている変態じゃなければ、の話だがな」 にやり、と効果音がつきそうな笑みを浮かべ、僕を突き放し、「おっと、こんな時間だ。俺も暇ではないんでな」とつけていないはずの腕時計を見ながら言い、片手をヒラヒラさせて来た道を華麗に去って行った。いきなりのことに僕の思考はしばらく停止していたけど、からかわれたのだとわかり、一気に頭に血がのぼった。 「……なっ!くっそー!!」 そのあとのマルスはその憂さ晴らしをするかのようにリンクに纏まりついて「せんぱーい、性的に慰めてよー」とか言って、リンクに変態だのなんだのといつものように罵倒されていたらしい。 反意語探し (果たして真相はいかに) 駒子700リクThanks! 2011/01/23 |