今私の目の前にいる人の頭の中は、どうなっているのだろう。私と同じように、貴方も私でいっぱいなのだろうか。それとも他の人の記憶で埋め尽くされているのだろうか。後者だとしたら、今のこの状況はどういうこと? 「……星月、先生……」 「………………」 壁に手をついて私を壁に押し付けて、ただじっと私の瞳を見つめるのみで、何も言わない。 「……なん、でしょうか……」 「………………」 私の問い掛けにも答えずただただ私を見つめる貴方の表情は、こんなに近くで見ているのに何故かよくわからなかった。 「………………」 何を考えているのだろう。何がしたいのだろう。私を映しているようで何も映さないその瞳が、これから何を捕らえるのだろう。 ……いや。 果たして、何かを、捕らえてくれるのだろうか。 「……あ、の………」 「………すまん」 その一言だけを上辺のように吐き捨てて、星月先生は静かに私に口づけた。 キスのお味はシュガービター (甘くて苦い、そんな味) 2011/01/19 |