瞼の上から朝日が光ってキラキラキラキラ眩しくて。 「……んぅ……」 カーテンから差し込む光にもう朝が来たのだと、朝食の用意や他の家事をしなければ、と、寝起きの自分の体に鞭を打ち、布団の中から出ようとする。 「ん……?」 つん、と自分のパジャマが引っ張られた。 「……ぅ………」 静かに寝息を立てて眠るあの人は、もういい年なのにとても可愛らしく思える。 いつもは凛とした大人の男の人の顔つきなのに、あどけない寝顔になって素直に立てられる寝息もまたその幼さに拍車をかけている。 昨日は私が寝た後に帰ってきたはずだから、結構遅い時間に眠りについたのだろう。 そう思い、自分のパジャマを掴む手をそっと離そうとした。 「………!?」 パジャマの次は今度は私の腕。 「月……子………?」 「あ、ごめんなさい。起しちゃいましたか?」 「いや……」 そっと開かれた瞼はまだ重いようで、言葉を発すると、また閉じられてしまう。 「まだ朝早いですし、寝てても大丈夫ですよ?今日はお休みなんでしょう?」 今日は日曜日、とはいってもお偉いさん方との会合やら他の学校への出張やらで最近は家にいないことがほとんどだった。 「んー………」 「……?」 そのまま寝るのかと思いきや、少し起き上がり、軽く欠伸をし、静かに私の目を見た。 ………あ、この角度。 「いっしょに……ねないか………?」 「……っ……」 まだきちんとは定まっていない視点。少し乱れたパジャマから除く鎖骨。 寝起きの擦れ気味の声が、寂しげに響いた。 いつもは男前なのに、その姿はまるで子供が目の前でぐずっているように見えた。 加えて、この角度。 斜め45度からの視線を向けられるといういつもとは違う感覚、プラス、欠伸のために潤んだ瞳。 私はこの儚げで愛しい存在を抱き締めずにはいられなかった。 斜め上45度の奇跡 (琥太郎さん……可愛い……) (嬉しくない……ぞ………) 2011/01/16 |