10-5 | ナノ








足りない、足りない、足りない……。





「せ、んぅ、……ふっ、んんぅ!」


いつもより数倍長いキスにあいつが苦しがってる。
息が苦しいと俺の胸を叩くけど、そんなのは知ったことじゃない。
今、俺は、お前に飢えているんだ。
唇に触れて、舌を唾液を絡めて、歯列や歯茎の隅々まで愛して。
今はここまでだけど、近い将来には肌と肌をくっつけて、体温を共有して、どちらのものかもわからない液でぐちゃぐちゃになって。
深く、ふかく、俺をお前のナカに差し込んで。
お前をもっと感じて、お前を離さないように、俺のものに……。

………そこで、はたと気がついた。





オレハ、ナニヲヤッテイル……?





一気に我に返り、すぐさまあいつを離した。


「はっ、はあ……はあ……」


荒い息を吐きながら保健室の床に座り込んだあいつを、俺はまるで高いところから地上を見るかのように見下ろしていた。





なあ、誰か、俺をとめてはくれないか?







独善ボーイ
(誰か、を求めて行き着くのはお前)





2011/01/16