ルキノさん一人称、二人称捏造です。設定共に矛盾や誤りがある可能性があるので注意。


「では、結果を楽しみにしているよ」

「よしきた」

ハンター同士でも交流はある。ゲームの結果を競い合ってみようと提案してきたのは魔トカゲことルキノだ。
賭けるものなど持ち合わせがなかったが、ならば負けた方が勝った方の言うことを聞くのはどうかとルキノが提案してくれたのでなるほどとナマエは感心した。
ルキノは爬虫類を専門とする”学者”なだけあって頭が良い。聡明で狡猾で、ついでに乱暴な感じだ。最後は昔からなのか彼に付属した体質からの影響なのかは分からない。ナマエの知るルキノは最初からああだったからだ。





「……つら」

どんよりとした声色でナマエは呟いた。
意気揚々とゲームへと赴いたナマエの戦績は散々なものだった。こんな筈ではなんて思ってもなってしまったものは仕方ない。
チェイスでは空振り連発で、椅子は壊され、板をぶち当てられ、とことん散々な目にあった。
広大なマップをナマエが覚えきれていないのも敗因の一つだろう。
よもや全逃げされるとは思わず、ナマエの気分はどん底である。
不貞腐れて床を見ていると薄っすらと滲む青い光が見えた。つられて上を向くとゲームの後だからか冷めやらぬ興奮に爛々と目を輝かせたルキノがいた。青い光はルキノの全身から突き出している結晶から溢れているものだった。
こんなおっかないハンターに追いかけ回されたらとてもじゃないがやっていけないのでナマエはサバイバーでなくてよかったと思う。

「戦績は芳しくないようだね、ナマエ?」

「ああ、ルキノさん。完全敗北でした」

「こちらは完全勝利だ」

「かんっぜんにまけた!ふぐく、悔しい!!」

分かりきっていたことで、これで引き分けてもそれはそれで虚しいのだけれど、ルキノにも敗北したことでショックは二重になった。
がくりと膝から崩れ落ち、ナマエは項垂れた。

「君の戦績はムラが激しいことは聞いていたがまさかこれほどとは思わなかった」

「ひどい!」

ははは、と笑われわしゃわしゃと頭を撫でられる。
いいようにあしらわれている感じにナマエは機嫌を損ねてそっぽを向いたが、頭部から頬を伝わり顎へと添えられたルキノの手がナマエと視線を合わせるように誘導してきた。

「私の望みを言う前に君の望みがなんだったか聞いてもいいかな?」

「聞いたら怒るかもしれない」

「怒らないと約束しよう」

肩を竦めたルキノが続きを促す。逃がしてくれなさそうな雰囲気にナマエは正直に話すことにした。

「これが一個欲しかった」

細い指先がルキノの皮膚から突き出した水晶を撫ぜる。
少しだけ弾んでしまった声音は初めて憧れのものに触れた興奮のせいだ。ちゃっかり触れてしまったが怒られなくてよかった。

「それだけ?」

「だって綺麗なんだもん!」

パチリと瞬きをして拍子抜けしたようなルキノにナマエはムッとしたような声を出す。
ルキノの持つ結晶がナマエは美しいと思う。
だがナマエは美しい水晶で着飾りたいとかそんな願望はない。
綺麗だから一つでもいいから手元において眺めておきたいのだ。それだけできっと毎日素敵な気分になれるに違いないと根拠のない自信があった。
ルキノから離れても美しい光が絶えないでいてくれるといいのだが、光らなくとも宝物としての価値は十分だと思う。

「あー、うん。そうだな。君はそういう女性だもんな」

「?」

なぜだかルキノは大きな手で顔を覆ってしまった。
そして何かを誤魔化すように唸りだすのでますます訳がわからない。

「少し待ってくれないか。予定変更したい」

「はあ、どうぞ」

ソワソワと落ち着かないのか忙しなく尾が動いている。
顎に手をあてて思案するルキノにナマエも何を要求されるかドキドキする。ハスターの触手を取ってこいとか言われたらどうしようとか、そんな心配である。
やがていい案でも思いついたようでパッとルキノの顔が明るくなった。

「素敵なお嬢さん、私とティータイムでもいかがかな」

「ルキノさん、リッパーさんみたいなこと言ってる」

ペチンッと軽く当てられた尾と不機嫌そうに細められた目の理由はやはりナマエにはまだ分からなかった。


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