※吸血鬼マイクロビキニの設定を捏造してます


洗脳やら結界やら超能力やら浮遊やら、条件発動型で法則を押し付ける力やら様々な能力を持つ吸血鬼は多くいるものの、無から有を生み出すものはほとんどいない。
恐るべき吸血鬼マイクロビキニも、無からマイクロビキニを生やすことは出来ない……のではなかろうか。知らんけど。
噛んだ相手を洗脳して、ついでにマイクロビキニを装着することを強制する力を持つ吸血鬼……否、マイクロビキニを装着して洗脳するのか?ああ、もうどっちでもいいや。
ナマエはどういった経緯かとんと記憶にないのだが、マイクロビキニの在庫を管理することになっていた。

「ナマエ!由々しき事態だ」
「イエスビキニ」
「そのふざけた返事はやめろ!」
「なんだよ、喜ぶと思ったのに」 

クローゼットの中にあるハンガーに掛かる無限のマイクロビキニ、マイクロビキニ、マイクロビキニ。
吸血鬼マイクロビキニが誰かを噛むと、ここにあるマイクロビキニが一着、ハンガーを残して消える。不思議なことだ。ナマエはハンガーに新しいマイクロビキニを掛ける係だ。時給も出る。万歳。
在庫が減り続けていたので吸血鬼マイクロビキニの言うところのマイクロ波による征服は順調かと思っていたら、そうでもなく……というか、普通にそんな何百何千も在庫はないので勘弁して欲しい。まず在庫を用意しろ。

「我がビキニが破られたのだ。あんな、あんなことが起こるのか……信じられん」
「布だからね」

布だから破れるに決まっているだろう。布なんだから。
呆れた声を出すナマエに、吸血鬼マイクロビキニは違うのだと首を振る。

「違う。我がマイクロビキニに納めきれぬ程の……巨大な、きょ、胸部が……」
「はぁ?デカいおっぱい?」
「品のない言い方をやめろ!」

強気なことを言いながら涙目だし吸血鬼マイクロビキニは体育座りになっている。尊大にみせかけて気弱なこいつは内弁慶だった。
巨大な胸部の人間に余程のトラウマを刻まれたのかもしれない。面倒くさいから野球拳呼んで引き取って貰おうかな。

「ビキニが弾けるほどデカい胸だったってことね」

思えば今までその問題に突き当たってない事が不思議だった。
伸縮性があるからある程度のゆとりはあるとはいえ、限界もあるだろう。
吸血鬼マイクロビキニは老楽男女問わずにマイクロビキニにするから、体格のいい男性だってギリギリだったこともあるかもしれない。
ナマエはハンガーの一つを手に取り、マイクロビキニをしげしげと眺めた。
不思議とこれだけ眺めていてもなんの愛着も湧かない。なんだって自分はこんな“仕事”を引き受けてるんだろう。
腐れ縁だからかな。

「入らないなら、大きいサイズ用意すればいいね」

その言葉に、吸血鬼マイクロビキニが驚いたように瞬いて涙目が引っ込んだ。打ちひしがれるのに精一杯でその発想がなかったらしい。
吸血鬼マイクロビキニは尊大な態度を取り戻し、次こそはと意気込んでいる。
面白みのない在庫整理も、コイツが楽しそうならやってあげてもいいかもと、ナマエは少しだけ思うのだった。


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