365 | ナノ



※某アイス屋さんの話そのに。

「おい、どういうことだ……。答えろ、人間!」

「えっと、どう……って言われても。店員さんビビるからあんまり大きな声出しちゃだめだよ?」

「すっ、すまない。いいか? 俺様はあの悪魔の顔を持つ橙色の瓜の味を模したものを求めて来たのだぞ? しかしッ……しかしここにはそれが掲示されておらんではないかッ……!」

「仕方ないよ、ハロウィン過ぎちゃったもん。あれはシーズンフレーバーっていって、時期によってあったりなかったりするからいつも有るとは限らない味なの」

「なァッ……!? それでは、あれを食すためにはまた悠久の時を過ごさねばならんというのか……? そんな、俺様は、それまで耐えられんぞ……!」

「他のフレーバーにも美味しいのあるから、試食してみなよ。元気出して? ね? たっ、例えばこのデビルズケーキとか田中くんに合いそうな感じ」

「デビル、だと……!? フッ……フハハハハハッ! 悪魔と呼ばれた俺様に同族食いをしろ、と。貴様はそうぬかすのだな? ククク、正に狂気と謳われた俺様に相応しき所業。悪くない……悪くない提案だ従順な下僕よッ!」

「ちょっと甘めの味だから、田中くんの好みに合うかわからないけど……。初めて食べるなら小さいのにしといた方がいいよ」

「……キッズサイズでデビルズケーキを一つお願いします。は、はい、カップでいいです、お願いします」



戻る