奇跡も魔法もあるんだね 「え、えーっと……あの、本当に私ペン子なんですが」
「何言ってるんだ!お前人間だろ?!」
「いや、そうなんですけど………うーん、どう説明すればいいんだろ」
「ブツブツ言ってないでペン子を出すんだ!!」
どうしよう、彼話が通じないよ。 どーやって説明しよう。 ありのままのことを話そうかな……事故に遭ったあたりから。
「あの、佐久間くーん」
「……なんだ」
「とりあえず話だけ聞いてもらえませんかね?」
「…………くだらなかったら皇帝ペンギン2号打つからな」
なんかよくわかんないけど恐そうなのでくだらなくないと信じながら話してみました。
「じゃあ、本当にお前はペン子なんだな?」
「う、うん」
とりあえず話したことは事故って何故かペンギンに転生したこと、事故の前は14歳だったこと、私が本当にペン子だということ。
これで納得してくれるといいけど………
「きっとお前はイチゴを食べると人間の姿になれるんだろうな」
あ、あれ、これ信じてもらえたのかな?
「まあ、な。普通なら信じねえだろうが、なんとなく嘘じゃねーってわかるんだ」
「よ、よかった………。ってあれ、なんで私の心読めんの!?」
「いや、口に出てたぞ?」
「マジか」
ちょっと落ち込む。ま、まさかさっきから筒抜けだったり? うわあなんか恥ずかしい。
「なあ、少し試してもらいたいんだが」
「なに?」
「もう一度イチゴを食ってくれ」
「りょーかい!」
私はひとつイチゴを手にとり、口に含んで飲み込んだ。 そしたらまたぼわん、と煙が出てペンギンの姿に戻ってしまった。
「なるほどな……。あ、もう一個イチゴ食っていいぞ」
佐久間くんがそういったのでもうひとつイチゴを食べたらまた人間になった。なんか忙しいな。
「で、何が分かったの?佐久間くん」
「あぁ、お前はイチゴを食べると人間になる。もう一回イチゴを食べると元に戻る、って程度ならな。他にも色々今度試すか」
「ほお……頭いいね、佐久間くん」
「これくらい普通だろ………あと、佐久間じゃなくて次郎でいい」
「次郎、くん?」
「ああ。そうだ、お前も前世の名前があるだろ、それで呼ぶから教えろ」
何気に命令された。別にいいけどね! でも、前世の名前か……。 なんか呼ばれると、また生前に戻ったみたいだ。
「私は苺果。苺果だよ」
「そっか、改めてこれからよろしくな、苺果」
こうして、私と次郎くんの新たな生活が始まったのだった。
------------ ちょっと会話文多めでした。[ 10/10 ][*prev] [next#] [bkm/back]
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