※死ネタ


ぽたりぽたり、と。
瞳から何かが溢れ出る。
涙、と分かった瞬間、さらに溢れてきた。

「なまえ、」

返事はない。分かっている。
彼女はもう…いないの、だから。

「なまえ、なまえ、なまえっ……!」

彼女の横たわるベッドのシーツをぎゅ、と握りしめる。
大好きだった彼女。彼女はいつも、俺が挫けそうになっても笑って励ましてくれた。
俺にとって、いなくてはならない存在―――。


「神童、」

声をかけられ、ハッと後ろを向くと親友の姿。
俺は急いで涙を袖で拭う。

「大丈夫じゃ…なさそう、だな」

「きり、の」

扉の傍にいた霧野はゆっくりと俺の元へと歩みよる。

「部活なら、明日から行くよ。キャプテンだからな」

「……神童…」

霧野は鞄から何かを取り出し、ベッドの上に置いた。
手紙だ。誰からのだろうか。

「さっき、ナースの人からもらった。なんでも、テーブルの机に置いてあったそうだ」

お前宛ての、なまえからの手紙だ。


霧野は、そう言い、目を見開く。
なまえ、からの…?

手紙をゆっくりと手にし、封を開ける。
中には、一枚の紙。

『神童くんへ』と書かれた文字は、確かになまえの筆跡であった。

文章は短くたったの二行。

でも、それを読んだ瞬間俺の瞳から涙があふれ出してしまった。


「神童、それはきっと…なまえの、本当に気持ちだ。ちゃんと、受け取ってやれよ?」

「もち、ろん、だ…!」

俺はしっかりと頷いた。この手紙があるだけで、きっと明日からまた頑張れる気がした。



   


(俺は、お前のこと愛してるよ)
(もちろん――未来永劫、)




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あれ、最後なんか病んでる…?←




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