私には、好きな人がいます。



「あっ、あの、風丸、くん!!」

「ん?なんだ、みょーじ」

「え、っと……す、数学のプリント、集めてる、んだけどっ…!」

「あぁ、今出すよ。………はい」

さわやかな笑顔で渡してくる彼にぼぼぼっ、と顔が赤くなるのが分かり、「ありがとう!」と叫びながら私はプリントを受け取って走り去って行った。



「あ、秋ちゃんっ……!」

「なまえちゃんっ……!」

「か、風丸くんと喋れたよぉおお!!」

「おめでとうっ、なまえちゃん!!」

私と秋ちゃんはギュッと抱きしめあい、きゃあきゃあ騒ぐ。
秋ちゃんは私の親友であり、同じ片思い仲間だ。
秋ちゃんが好きなのは、私の好きな人…風丸くんの親友、円堂くん。私たちはお互いの恋を励ましあっているのだ。


「はあ……秋ちゃんはいいよね、脈ありだからね〜」

「みゃっ!?な、ないよ!全然ないって!」

「嘘つけ!私なんか緊張しちゃうから全然しゃべれないもん!秋ちゃんは同じ部活でしかも部員とマネなんだから!」

それだけで脈ありって言わないでよ!、と顔を真っ赤にしながら秋ちゃんは否定する。でも、絶対円堂くんは脈ありだと思うけどなぁ。

ちらり、と風丸くんを見るとどうやら円堂くんとお話している様子。ああ、今はものすごく円堂くんがうらやましい。私だって、風丸くんと普通におしゃべりしたい。
ボーっとしていて見ていたら、ちらりとこっちの視線に気付く風丸くん。ぱっちり。目が合ってしまい、私は顔を真っ赤にしながら目を逸らした。どど、どうしよう!変に思われてないかな?

そんな私のことは気にせず、また円堂くんと談笑を始める。
またチラリと横目で風丸くんを見た。

そんなふうに、楽しそうに笑うあなたのことが大好きです。

そう、心の中で呟いて、また秋ちゃんと恋バナを始めた。


友達と楽しく笑うあなたの声


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