「なあ、知ってるか、なまえ」

「なあに?マサキ」

二人でデートをしていたら、マサキが突然話題をふった。なんだろう。


「天馬くん、サッカーができなくなったみたいなんだよね。足を骨折!」

「へえ」

「………んだよ、もうちょい反応ねーのかよ」

「だって、エイプリルフールの嘘でしょ?」

チッ、と舌打ちをつくマサキ。ばればれだよ。
私はマサキの彼女なんだし。

「でも、天馬くん、今年一年は元気にサッカーできそうだね」

「はぁ?なんでだよ」

「だって、エイプリルフールの嘘ってね、今年一年現実にならないことなんだよ」

だから、天馬くんは今年一年、サッカーできなくなることはないってこと。
そう説明すると、ふぅん。と小さくつぶやいた。

「あ、そうだマサキ」

「んだよ」

「私、この関係やだから壊したい」

真顔でいったせいか、驚愕の表情をするマサキ。
もちろん嘘だけど、と笑顔で言ったらポカリと殴られた。痛い。

「殴んなくてもいいじゃん」

「言っていい嘘と悪い嘘がある」

「それを言うならマサキもだし」

「うぐっ、」

「それに、これはついていい嘘」

「は?」

キョトンとした顔をするマサキに、さっき言ったこと忘れたの?と笑いかける。
マサキはハッとして少し顔を赤くして、馬鹿、と呟いた。

嘘つきの願い

(今年一年、恋人同士でいられますように)



------------
エイプリルフールの嘘は現実にならないというジンクスはマジらしいです。
ウチの友達が彼氏できたー!って言ってきたからご愁傷様と送っておいた。




back