行かせてやれ、とのキャプテンの一言でこの部屋から出ようと歩き出した先輩に、「お疲れさまでした、先輩方」と声をかける。
「へえ、物分かりのいい一年もいんだな」
まるで天馬を嘲笑うかのように言う。
「ふふ、ありがとうございます。………単に先輩方と同じフィールドを走るのが嫌なだけですがね」
「んだと…?」
先輩はぎろりと睨んでくる。でも、全然恐くないね。 葵が小声で、ちょっと、心愛……!、と言ってくるけど、ここばかりは譲れない。
「あれ、聞こえちゃいました?本当のことがちょっと口に出ちゃいました。まあ、内申の為にやるサッカーなんてどうせ楽しくなんかないですしね」
わざとらしく、笑う。 確かに、私が先輩の立場だったら余計にイラつくだろう。
「この一年がっ……何も知らねえくせに!」
ぐいっ、と胸ぐらを掴まれる。やめろ、というファーストの人の声が響く。
「ええ、何も知りませんけど、何か?それよりこんなことしてたらサッカーをしていた理由の大事な大事な内申に響くと思いますけど…いいんですか?」
そういうと、チッ、と舌打ちをして胸ぐらをつかんだ手を離した。そして他の先輩に行くぞ、といって部屋を去って行った。
あぁ、スッキリした。
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