「お願いします!やめないでください!!」
天馬は丁寧に、頭を下げる。 でも、きっとこの人たちはやめることをやめないだろう。予想通り、断る言葉を並べた。
「そんな……俺、雷門に入って、雷門の先輩と一緒にサッカーやるの楽しみにしてたんです、雷門サッカー部は……俺の、憧れなんです!」
今までの思いをぶつけた、天馬。 それに対して「ガキだな、おまえ」と一蹴する。 私の怒りゲージが段々と溜まっていく。
「あのな、恐くなったんだよ、サッカーが」
「恐い?サッカーの何が恐いんですか?サッカーって楽しいものだと思うんです。俺たちがサッカーを楽しい、って思わなかったらサッカーが可哀そうですよ!」
そう天馬が言った途端、部屋に笑いが起こる。 何で、笑ってんの。天馬は間違ったこと言ってない。 サッカーが可哀そう、っていうのはあくまでも比喩だ。 でも確かに――こんなヤツらに中途半端なサッカーなんかされたら、サッカーが可哀そうだ。
「でも!俺は本気でそう思ってます!楽しいって思えば、きっとサッカーも嬉しいはずです!!」
真剣な瞳で、訴える。 暫く、シンとした空気があった後―――
「………行かせてやれ」
キャプテンの一言。天馬は驚いたような表情をし、ありがとよ、神童。と感謝する先輩。
ああ、ムカつく。
少しくらいキレても、許されるよね?
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