私は相手チームが去ろうとしたところを呼びとめた後、観客席からジャンプしてフィールドに立った。
うお、意外と足にジーンとくるな…。

「なにかようですかな?それと、女の子が飛び降りたりしたらスカートの中が見えますよ」

黒いスーツに黒い帽子をかぶった男は、笑いながら言う。
安心しなさい、スカートの中はスパッツだ!

「ちょっと聞きたいことがあってね――……旧サッカー部部室の、プレートを破壊したのはアンタ達かな?」

私がそう問いかけると、あの中二少年がにやりと笑い、ああ、と返事をした。

「ま、正確にいうと俺だ」

「そう………それじゃ、覚悟は出来てるかな?」


はあ?という目で見てくる中二少年。
私は気にもせず、近くにあったボールで、中二少年へ向けてシュートをしようとしたら――

「やめろ、風丸」


「…!久遠、監督」


久遠監督に止められた。

「なんで止めるんですか…!」

「音無から事情は聞いた。あまり目立つとフィフスセクターに目をつけられるぞ」

ぼそりと耳元で言った久遠監督。
私はちっ、と心の中で舌打ちしたあと「………いつか、絶対に殴るから!」と言った。
そしたらハッ、と鼻で笑い去っていく中二少年。

――――あの野郎、いつかマジで殴る。