「ねー、翔ちゃん」

「んー?」

「好き、ってなーに?」

放課後の教室。なまえと二人きりで課題を進めていたら、急になまえにそんなことを問われて、ぶふっ、と吹き出してしまう。なんで急にそんなこと聞くんだよ、と聞くと、

「えー、だって、今度の課題、ラブソングの歌詞作りじゃん」

と言いながら机に突っ伏した。ああ、そういえばそうだったな。にしても、教室で堂々と聞くとか、コイツは勇者か。もしくは勇者の子孫かなんかか。ここは恋愛禁止の早乙女学園。男女交際しているのがばれたら、即退学という場所だというのに。
まあいいか、と溜息をつき、自分なりの考えを述べてみる。

「やっぱり、その……アレじゃねえか? ずっと一緒に居たいー、とかさ。そーゆーのを思ったら、やっぱり好きってことなんじゃねえの?」

ふーん、そっかあ。と課題を進めながら返事をするなまえ。なんだよコイツ。せっかく俺が恥を忍んで発言したというのに。仕方ねえ、とりあえず俺も課題を進めねえとな……。と、シャーペンを動かし始めたら、コイツはいきなり爆弾発言をかましてきた。

「じゃあ、私、翔ちゃんのことが好きなのか」

「はあ!?」

ばっ、と課題に集中していた顔を上げ、なまえを見る。だが俺が顔を真っ赤にしているのに気付かないなまえは、飄々と課題を進めていた。どきどき、と心臓が五月蠅くなる。
もしかして、俺とコイツは、両想い、だったりするのか……!?
そんな淡い希望を持っていたら。

「あ、レンレンとトキりんも好き! 4人でずーっと一緒に居たいなあ」

玉砕された。
まあ、なんとなく、そういう意味だとは分かってたけどな……。コイツ、天然だし。
はあ、と溜息をつくと、「溜息つくと幸せ逃げるよ!」とたしなめられた。
お前の所為だっつーの、と心の中で小さく呟いた。

「ま、いつかぜってー振り向かせてやっからな」

「? 何か言った? 翔ちゃん」

「いーや、なんにも。ほら、さっさと課題進めんぞ」

俺はそういい、また課題を進め始めた。

天然少女と苦労人少年

(翔ちゃーん……、ここ見してー)
(自分で考えろよ……全く)




------------
小結さま、リクエストありがとうございました!
天然な夢主とそれに振り回される翔ちゃん、とのことでしたが、こんな感じでよろしいでしょうか?
書き直しの要望やダメだし、お持ち帰りは小結さまのみOKです!





back