私、みょーじなまえは迷っていた。
現在私は、私の恋人である朝日奈風斗くんの部屋の前にいる。手には、この間風斗くんに渡された合鍵。「もう付き合って半年だし、あげるよ」と放り投げられたモノである。勝手に入っていい、とは言われたけれど、いざ入ろうと思うとすごく迷う。本当に勝手に入っていいのかな、とか、入って待ってたら迷惑かな、とか色々考えてしまうのだ。
「ええい、もう、女は度胸だ!」
どうにでもなれ!と私は手に持っていた鍵を鍵穴にさして、ガチャリと回し、ドアを開けた。
「お、じゃましまーす」
そろりそろりと忍び足で入っていく。
部屋の中は何というか……『朝倉風斗』からは考えられないが、『朝日奈風斗』ならありえる、むしろ予想通り、という感じだった。なんというか、とにかく汚い。床にはDVDやCDのケースが大量に散らばっていて、ベッドの上にも雑誌とか色々のっている。仕事が忙しくて家に帰る暇があまりないとはいえ、汚すぎないかい、風斗くん。
とりあえずDVDや雑誌等を一か所に集めたりして、ベッドの空いたスペースに横になる。鞄からごそごそと、今朝ラッピングに包んだ物を取り出した。風斗くん、今日中に帰ってくるかな。今日中に渡したいな。そう思いながら私はそっと目を閉じた。
「………と、ちょっと!」
ゆさゆさと身体を揺すぶられる。全く……私が寝てるってゆーのに………ってあれ、私寝る前何してたっけ。てか、今何時?そう思ってゆっくりと瞼を開いていくと………目の前には、風斗くんの顔があった。
「っ!? ふふふふふふ、風斗、く!??」
「やっと起きた? 確かに僕はいつでも部屋に居ていい、って言ったけど、寝てもいいなんて言ってないけど?」
「ごごごごご、ごめん!寝るつもりはなかったの!」
「全く、」
呆れて溜息をつく風斗くんを見て、怒らせたかな、と思い肩を落とした、ら。頭をぽむぽむと撫でられた。
「そんなあからさまに悲しそうな顔しないでよ、別に怒ってないから」
「……ほんと?」
「ほんと」
「そっか」
そう言われて、ほっとした。風斗くんは私なんかよりずっと大人びてて、怒ると怖い。だから、安心した。えへへ、とはにかみながら風斗くんに寄り添うと、風斗くんも私の方にもたれかかってくれた。どうやらお疲れのようだ。今日は二人でゆっくり過ごしたいな、と思ったところで何か頭の中で引っかかった。今日中にしたいことがあった、ような…?
「っあ!」
「うわっ、何、急にどうしたの?」
風斗くんの発言を無視してあたりを見回す。確か私は、風斗くんへのチョコを手に取ってから寝てしまった。だから、この辺に転がっているはず。割れていなければいいんだけど…!
「ねえ、なまえ。僕を無視するなんて、いい度胸だね…?」
「えっ、あ、ごごご、ごめん!」
「全く……まあ、チョコが美味しかったから許してあげる」
え、と風斗くんの方を見ると、彼の手にはチョコを包んでいたラッピングの紙。と、中に入れた、手紙。
「『いつもお疲れ様。大好きです。なまえより』……ねえ?」
「きゃああああ!!?? ろ、朗読しないでよ!ばか!!」
「なまえはそんなばかな僕が好き…なんでしょ?」
耳元で囁かれてゾクッとする。そのまま風斗くんは私の耳に口を近づけて、ちゅ、とリップ音をたてた。何をされたか理解すると頬に熱が集まる。
「ね、次は…唇に、してもいい?」
「……だめって言ってもする癖に」
「ふふ、まあ、そうかもね」
そう言いながら私の唇に風斗くんの唇を、重ねた。
ぼくのかわいいおひめさま
(今日はもう、離さないから)
現在私は、私の恋人である朝日奈風斗くんの部屋の前にいる。手には、この間風斗くんに渡された合鍵。「もう付き合って半年だし、あげるよ」と放り投げられたモノである。勝手に入っていい、とは言われたけれど、いざ入ろうと思うとすごく迷う。本当に勝手に入っていいのかな、とか、入って待ってたら迷惑かな、とか色々考えてしまうのだ。
「ええい、もう、女は度胸だ!」
どうにでもなれ!と私は手に持っていた鍵を鍵穴にさして、ガチャリと回し、ドアを開けた。
「お、じゃましまーす」
そろりそろりと忍び足で入っていく。
部屋の中は何というか……『朝倉風斗』からは考えられないが、『朝日奈風斗』ならありえる、むしろ予想通り、という感じだった。なんというか、とにかく汚い。床にはDVDやCDのケースが大量に散らばっていて、ベッドの上にも雑誌とか色々のっている。仕事が忙しくて家に帰る暇があまりないとはいえ、汚すぎないかい、風斗くん。
とりあえずDVDや雑誌等を一か所に集めたりして、ベッドの空いたスペースに横になる。鞄からごそごそと、今朝ラッピングに包んだ物を取り出した。風斗くん、今日中に帰ってくるかな。今日中に渡したいな。そう思いながら私はそっと目を閉じた。
「………と、ちょっと!」
ゆさゆさと身体を揺すぶられる。全く……私が寝てるってゆーのに………ってあれ、私寝る前何してたっけ。てか、今何時?そう思ってゆっくりと瞼を開いていくと………目の前には、風斗くんの顔があった。
「っ!? ふふふふふふ、風斗、く!??」
「やっと起きた? 確かに僕はいつでも部屋に居ていい、って言ったけど、寝てもいいなんて言ってないけど?」
「ごごごごご、ごめん!寝るつもりはなかったの!」
「全く、」
呆れて溜息をつく風斗くんを見て、怒らせたかな、と思い肩を落とした、ら。頭をぽむぽむと撫でられた。
「そんなあからさまに悲しそうな顔しないでよ、別に怒ってないから」
「……ほんと?」
「ほんと」
「そっか」
そう言われて、ほっとした。風斗くんは私なんかよりずっと大人びてて、怒ると怖い。だから、安心した。えへへ、とはにかみながら風斗くんに寄り添うと、風斗くんも私の方にもたれかかってくれた。どうやらお疲れのようだ。今日は二人でゆっくり過ごしたいな、と思ったところで何か頭の中で引っかかった。今日中にしたいことがあった、ような…?
「っあ!」
「うわっ、何、急にどうしたの?」
風斗くんの発言を無視してあたりを見回す。確か私は、風斗くんへのチョコを手に取ってから寝てしまった。だから、この辺に転がっているはず。割れていなければいいんだけど…!
「ねえ、なまえ。僕を無視するなんて、いい度胸だね…?」
「えっ、あ、ごごご、ごめん!」
「全く……まあ、チョコが美味しかったから許してあげる」
え、と風斗くんの方を見ると、彼の手にはチョコを包んでいたラッピングの紙。と、中に入れた、手紙。
「『いつもお疲れ様。大好きです。なまえより』……ねえ?」
「きゃああああ!!?? ろ、朗読しないでよ!ばか!!」
「なまえはそんなばかな僕が好き…なんでしょ?」
耳元で囁かれてゾクッとする。そのまま風斗くんは私の耳に口を近づけて、ちゅ、とリップ音をたてた。何をされたか理解すると頬に熱が集まる。
「ね、次は…唇に、してもいい?」
「……だめって言ってもする癖に」
「ふふ、まあ、そうかもね」
そう言いながら私の唇に風斗くんの唇を、重ねた。
ぼくのかわいいおひめさま
(今日はもう、離さないから)