「はあ、はあ……」

「つっかれたあ……」

彼女と走り回り、追いかけてないことを確認すると近くの公園のベンチに座った。マジで久しぶりに本気で走った気がする。疲れた。明日は筋肉痛かなあ……。

「あの、ありがとう。助けてくれて……」

お礼を言われ、いいっていいって。と大丈夫サインを作ると「私、桃井さつきっていうの」と自己紹介された。彼女は容姿がかわいいだけじゃなく、名前も可愛いらしい。

「私は七海葵。よろしくね」

「うん!」

にこりと微笑む桃井さん。やばい超かわいい。

彼女と少し話してみたけれど、彼女は恋をしているらしい。黒子テツヤくんという少し影が薄くてパッとしないけれど、試合中に凛々しくなったりと、とにかくかっこいいらしい。あとアイスをくれたとか。

「なるほどねえ……恋する乙女は可愛いっていうから、桃井さんも可愛いんだね」

「なにそれ!私全然可愛くないよ!…ていうか、下の名前でいいよ?私も葵ちゃんって呼ぶからさ!」

「そう?じゃあお言葉に甘えてさつきちゃんで」

そういうと、また笑うさつきちゃん。本当にかわいいなあ。百合とかじゃないけれど、私は男の子だったらさつきちゃんを好きになってたと思う。

「そういえば、葵ちゃんってきーちゃんの彼女なんでしょ?」

「きーちゃんって……」

「黄瀬涼太」

その名前を出されてピクリと身体が強張る。そして、全力で否定した。というか、出逢った時も否定した気がします。

「えー、付き合ってないんだー。意外だなぁ…」

「違うって、初対面の時にも言ったけど、ただの幼馴染!」

私はそういうと「でも、葵ちゃんってきーちゃんのこと好きでしょ?」と聞い………ってえええ!?

「そそそそそそそんなわけななななないでしょ、ななななにを言ってるんだろうかさつきちゃんはアッハッハー」

「テンパりすぎ、バレバレだよ、そんな反応したら」

くすくすと笑うさつきちゃんに顔に熱が集まるのが分かる。たたた、確かに、す、すき、だと思うけど……。誰にもばれたくなかったな、こんな気持ち。

「私、きーちゃんと葵ちゃんの仲応援するねっ」

「え、え、べ、別にそーゆーのいいんだけど……」

「だめっ、きーちゃんと葵ちゃんお似合いなのに勿体ないでしょ!」

「だって、この関係のままが、一番いいかな、って思ってるし……」

遠すぎず、近すぎず。まあ、少し遠いかもしれないけれど、それくらいが私にとってちょうどいいのだから。

「――葵ちゃんが、そういうなら……でも!何か相談があったら何でも言ってね!」

「うん、さつきちゃんも、何かあったら私も相談に乗るよ」

気付いたらあったばかりとは思わぬくらい仲良くなってました。まあいいんだけどね!


(葵ちゃん!メアド教えてー)
(いいよー)

春色メモリーズ


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