「ん……なんだ、これ」

朝学校に行く時、ふと地面に落ちてあるものを拾い上げる。生徒手帳かな、と思い表紙を見ると見慣れた顔。

「黄瀬涼太、か……」

我が幼馴染はどうやら生徒手帳を落としてしまったらしい。ちなみに写真のドヤ顔がムカつく。イラッとくる。

仕方ない、帰りにでも帝光中にでもよって返してやるか。

そう思い、私は学校への道を歩いた。






「うはあ……帝光中初めて来たけど…デカいな……」

時は案外早く進むもので、放課後。
帝光中の大きさに驚いております。

今は放課後だし、黄瀬くんはきっと体育館で部活してるよね…。
それっぽいところを目指して入るか。




さて、体育館らしき場所に来たはいいが、どうしましょう。
私にはもちろんガララッと開いて「黄瀬くんはいますか?」と問いかける勇気はない。
いや、でもそうしないと返せないよね。
あ、いっそ此処に放置してく?いやでも失礼だし……。(礼儀って大事だよ!)
やはりここはこっそりと入って黄瀬くんに渡そうk「あの……」

ぽん、と肩に何かが乗り驚いて「ひゃい!?」と噛んでしまった。恥ずかしい。
ゆっくりと後ろを向くとピンク色の髪をした少女。え、やだこの子かわいい。

「えっと……何か此処に用かな?他校生みたいだけど…もしかして偵察とか?」

「え、あ、いや、怪しい人間ではありませぬ!」

ありませぬ、ってなんだありませぬって。テンパりすぎだろ私。
そのせいで目の前にいるかわいい子はなんか苦笑いしてる。恥ずかしいよ、まじで。穴があったら入りたい。

「えっと、その……黄瀬くん、は、います?」

とりあえず、目的の人物を呼び出してみる。彼女は「きーちゃん?ちょっと待っててね〜」といって体育館の中へと入って行った。
うわあ…なんか久しぶりに会うし変に緊張する。どきどき、と胸が高鳴る、けど無視した。

「俺を呼んだのって誰ッスか〜……って、葵っち!?」

「ひ、ひさしぶりー」

棒読みで苦笑いをすると抱きつかれた。苦しい、熱い、はなれて。そう言ったけど無視してぎゅーぎゅーと抱きしめる。

「きーちゃん……彼女いたんだ」

黄瀬くんに抱きしめられてるせいで見えないけれど、あのかわいい子は驚いている様子。ていうか、

「彼女じゃないです。ただの幼馴染です」

「そんなツレないこと言わないでほしいッス〜……」

しょぼーんとしながらようやく抱きしめるをやめた黄瀬くんの頭をとりあえずぺちりと叩いておいた。

「それで、何の用ッスか?急に帝光中にくるなんて……」

「ああ……これ、拾ったから届けに来ただけだよ」

私はポケットから彼の生徒手帳を出して渡すと、「ありがとうッス!」とお礼を言われた。いや、拾ったものを返すのは当然でしょうが。

「それだけだから、じゃあね」

「本当に、ありがとうッス!またねッスー!」

ぶんぶんと大きく手を振る彼にはあ、と溜息をついた。
ほんと、黄瀬くんのテンションにはついていけない。


(彼と関わると無駄に疲れる)

ハイテンションなあなた


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