放課後になり、私は藍花ちゃんと別れて第一体育館に向かっていた。………はずだった。

「ここどこ…!?」

見事に迷いました、はい。
校舎が綺麗なのはいいけど、校内の図がよくわからない。うん、困った。誰かに声をかけようにも、ここは3年生の教室だからなんというか声をかけずらいし。うん、どうしよう。

「ねえ君」

「ひゃい!?」

やばい噛んだすごく恥ずかしい!

「見たことない顔だね、新入生かな?」

「えっと、そうで「いや、そんなことはいい」……はい?」

「君みたいな天使と同じくらい、いや天使以上に可愛い子にこんなところで出会えるなんて奇跡だ。いいや運命と言うべきだろう。俺は今この瞬間、君と出会えたことに感謝している。もしよければ連絡先をぜひ!教えていただきたいのだが?」

………どうしよう、藍花ちゃん、ゆきちゃん。
変な人に絡まれたよ。
顔はいいのになんという残念な男子なのだろう。これが残念なイケメンか、そうか。勉強になります。
と、脳内で繰り広げてはいるものの、現実ではあたふたしています。誰か真面目に助けてください。

「あれ、葵じゃねぇか。こんなとこでどうしたんだよ」

救世主キタコレ!

「ゆきちゃん!」

ゆきちゃんの姿を確認した直後、私は走りよって、ぎゅーっと抱きついた。

「笠松……、またオマエかああああああ」

「うぉっ、森山!?なんでそんな睨んでんだよ!」

「オマエが!また!俺のフラグを!折ったんだよ!!」

「フラグ? 旗なんて折った覚えねぇよ!」

「そのフラグじゃねぇ!」

言い争いをするゆきちゃんと残念なイケメンさん。それをゆきちゃんの背中に隠れながら見る私。どういう状況なの。元々私が原因なのかもしれないけど。

「つーか、笠松、その子と知り合いなのか?」

「知り合いも何も、従妹だからな」

「……………Pardon?」

「だから、従妹」

ゆきちゃんがそういうと、残念なイケメンさんはぽかーんとした。開いた口が塞がらない、とでも言うような表情。そんなに驚くこと、なのかなあ……。

「こんな可愛い子が笠松の従妹だと?嘘だ絶対嘘だそんなわけないだって彼女はこんなにも可愛いのにこんなむさい男と血が繋がっているだなんてありえないありえるはずがないもしあり得るならば俺は遺伝子というものを恨む」

なにこの人こわい。なんか一息でつらつらと変な言葉を吐いている。しかも早口で。おかげで何いってるのか理解できないです。てか、まだなんか言ってるんだけど、まじこわ。ついゆきちゃんに抱きつく力を強くしてしまった。

「ったく、落ちつけっつーの!シバくぞ!」

「だっ!?」

とりあえずゆきちゃんがなんとかしてくれました。てかゆきちゃん、シバくぞって言いながら既にシバいてますよ?


助けを求めて三千里


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