4月某日。私は今、桜が舞う海常高校の門の前に立っている。
無事受験に合格した私は予定通り、神奈川の従兄の家に引っ越してきた。
そして、今日から新しい学校生活が始まる。今の私の心の中は緊張4割、ドキドキ3割、わくわく3割といったところだろうか。いざ、新しい生活へと私は海常高校の門をくぐった。


「ウソでしょっ、なんでこんなところに!?」

「やだ、かっこいー!」

「こっち向いて〜!」


クラス分けが張り出されている掲示板の近くでは、きゃあきゃあと黄色い悲鳴が飛び交っていた。どうしよう、すごく五月蠅い。なんとなく気になるけれど、そんなことより静かにしてほしいという思いが私の脳を占めていた。

「てか、私の名前、見えなっ……!」

ぴょんぴょんと小さく飛び跳ねているが、全く掲示板の内容が見えない。くそう、ここまで自分の身長の低さを恨んだことはないぞ。と内心キレ気味に必死に見ようとすると――……

「ねえアンタ、名前は?」

「えっ………。七海葵、ですけど」

「そう」

突然、謎の女の子に話しかけられました。しかもこの子、かなり可愛い。というより、綺麗。すごい美少女だ。スタイルもよくて、かなりモテそうだなあ。なんて、勝手に考えていると。

「あんた、A組だよ」

「え」

「だから、あんたは1-A。ちなみにあたしと一緒」

「見て、くれたんですか?」

「困ってたみたいだったし」

なんとこの謎の美少女は私を助けてくれたみたいです。え、どうしよう、すごくうれしい!この子超天使すぎる!素敵すぎる!!あわよくば友達になりたい!そして仲良くなりた「別にいいけど」……え。

「え、何が別にいい、んです……?」

「だから、友達。さっきからなんかブツブツ言ってたじゃん」

うわあああああああ心の声だだ漏れだったうわあああああああ。恥ずかしい。穴があったら入りたい。ていうか、別にいいってことは、私たち友達でいいの、か?仲良くしてもらえるの??

「えと、その……ふつつか者ですが、よろしくお願いします…?」

「ふふっ、何それ、アンタ嫁入りでもする気?」

あたしは霧崎 藍花。よろしくね?
そういった彼女が、私の高校での友達第一号だった。



(てか、ほんっと騒がしいわね、あの女子共)
(あ、藍花ちゃんもそう思う?)
(うん。なんというか……ぶっ潰したい)
(それはやめてね?!)

桜、舞う


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