さん、に、いち、と時計を見てカウントしていく。カウントがゼロになった瞬間、私は手元のクラッカーを思いっきり鳴らした。
『誕生日おめでとう、まーくん!』
「ああ、ありがとう、レナ」
まーくんは、ふわりと笑ってくれる。この笑い方はアイドルの聖川真斗じゃなくて、恋人である私だけに見せてくれる、笑顔である。
『誕生日プレゼントはなんと!みっつも用意してまーす!』
「そんなにいいのか?」
『もっちろん♪ひとつめはー、今日のディナーは私が用意します!』
「そ、それって大丈夫なのか?お前、あんまり料理作ったことないんじゃ……」
『だいじょぶ!翔ちゃんに教わったから!』
「そ、そうか………」
納得してもらったはいいけど、まだ少し不安な表情をしているまーくん。大丈夫、翔ちゃんに合格もらったもん!だから大丈夫……多分!
『ふたつめは、じゃじゃーん!』
私は懐からプレゼントボックスを取り出してまーくんに渡した。
中身が気になるようで、早速開けてもいいか?とそわそわしながら聞いてくるまーくんに頷くと、プレゼントボックスのリボンをほどいた。
ちなみに、中身はトキヤとお兄ちゃんの案を取り入れた、腕時計である。
「おぉ……ちょうど腕時計が欲しかったんだ、ありがとう」
『えっ、そーなの?ならよかった』
嬉しくて頬を緩めると、頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「それで、三つ目はなんだ?」
『三つ目は………』
三つ目は、本当にやろうか迷ったやつだ。でも、まーくんが大好きだし、これくらいやってもいいかな、と思いやると決めた。
『えっと…その、ね?』
「ふむ」
『………………わたしが、プレゼント、です』
そういうと、目を見開いて固まるまーくん。
えっ、もしかして嫌だったのかな?ああああああもうやらなければよかった!、と思ったのもつかの間。私はふわりと抱き締められた。
「……本当に、もらっていいのか?」
『え……あ、うん』
「ありがとう………絶対に、大切にする」
まさかそんな返事をもらえるとは思わず、何を言われたのか自覚するとぼっと顔が熱くなった。
「……ん?どうした、レナ。顔が赤いぞ」
『…まーくんのせいでしょ、ばか』
「お前から言い出したんだろう」
『まぁ、そうだけど……』
ああ、やっぱり言わなければよかったかなあ、と一瞬思ったけれどまーくんが喜んでくれたから、いいかなあ、なんて思ったり。
『まーくん』
「なんだ?」
『改めて、誕生日おめでとう』
「あぁ」
『あのね、大好き』
「俺もだ。お前の誕生日も、盛大に祝おうな」
『ん…。生まれてきてくれて、ありがとう』
Happy birthday!!