▼やくそく
「おーい、みつけたぞ、フェイ!」
「あ、ワンダバ!!」
独特なぬいぐるみっぽい水色の熊がやってきて、少しほっとする。
あれからずっとなまえちゃんを抱きっぱなしで、色々とあやしていたところだ。
「わぁっ、くまさんだー!」
今度はワンダバに目が行っている。ぬいぐるみっぽいのが喋ったら、嬉しいのかな?
「フェイ………幼女誘拐はだめだぞ?」
「違うよ!懐いてきたんだよ!」
「よーじょゆーかい?」
「ああああ、なまえちゃんも覚えなくていいから!」
ワンダバが失礼なことを言った上に、なまえちゃんが復唱した為、色々と疲れた。
「フェイ、そろそろいくぞ。ヤツらも動き出すだろう」
「あ、うん。それじゃあ僕はもう行くね?」
「い、行っちゃうんですか…」
涙目+上目遣いで此方を見てくるなまえちゃん。
か、かわいい……。じゃなくて!
「ごめんね?僕は少し大事な用があるんだ」
「行かないでください!」
話聞いてるのかな、この子。
「私、会ったばかりでおかしいですけど、フェイさんが好きなんです。心臓がどきどきするんです。こーいうのを『れんあいかんじょう』っていうって、お母さんが言ってました!」
え、としか言いようがなかった。
ぼ、僕のことが、好き?
「おーい、フェイー?こっちは調整しとくから早めに来いよ」
「え、あ、うん!!」
ワンダバの(多分)気遣いをうけとり、少ししゃがんでなまえちゃんと向き合ってみる。
「それじゃあ、なまえちゃんが成長したら、迎えに来てあげる」
「せいちょ…?」
「うん。大きくなって、その時まで僕のことを想っていられたなら、迎えに行くよ」
「ほっ、ほんとうですか!?」
とたんに嬉しそうにするなまえちゃん。
でも成長するころには彼氏とかいるだろうなぁ。
見るからに将来有望だし。
「私、ずぅーっとフェイさんのこと想い続けます!だから、絶対に迎えに来てくださいね!!」
「うん、約束」
笑いながら頭を撫でてあげたら、なまえちゃんもニコニコする。
そろそろ、行かなきゃね。
「それじゃ、僕は行くから」
「はいっ、迎えに来てくれるの、待ってますね!」
笑顔で手を振って見送ってくれたなまえちゃん。
僕も少し手を振り返してあげた。
さて、ヤツらを止めないと―――。
やくそく
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