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「おはやっほー!全国のHAYATOファンのみんなぁ、元気かにゃ?今日も、第二スタジオから元気をお送りしまっす!……なーんと、今日はゲストをお呼びしてまーす!Mariちゃん、おいでおいでー!」

「はぁいっ♪音楽の星からきた、うたのお姫様、Mariでっす☆」

「というわけで、今日のゲストはMariちゃんだにゃ!みんな拍手拍手〜」

「えへへっ、いつも応援ありがとねぇ!ファンのみんなぁ、大好きだよぉ?」

「Mariちゃんはサービス精神がすごいね!でも僕も負けないよー?」

「HAYATOくんもファンの人たちににたっぷりサービスしてるもんねぇ」

「ふふんっ、そうなんだよね!ではでは、そろそろ今日のテーマを!今日のテーマは、「歌」!Mariちゃんは、歌も上手だよね〜」

「そんなことないですよぉ。でも、お歌を歌うときは、故郷のおんぷの妖精さんを思い出してるんだぁ」

「へぇー!だからあんなに歌が上手いのかにゃ?」

「おんぷの妖精さんから力を分けてもらってるのかも!でもHAYATOくんもお歌上手だよねぇ?」

「そうかにゃ?Mariちゃんに言われるとすごく嬉しいよ!」

「私はいつもHAYATOくんのこと尊敬してるよぉ」

「な、なんだか照れちゃうにゃ……、ではではCMのあとは、Mariちゃんに歌ってもらいまっす☆」

「頑張るよぉ♪」





「はいカットー」

監督の声が聞こえて、ふぅ、と力を抜いた。
やはり生放送の番組というのは緊張する。
私は、「Mari」というキャラを演じている。あくまで「演じている」ので、私自身ではないから、あまりボロを出すということはないと思う。もしいつもの私が出たとしても、「今撮影してるドラマの癖が出ちゃった☆てへぺろ☆」みたいな感じで乗りきっている。そのうえ、スタッフがそこの素を出してしまったシーンを大抵カットしてくれたので大丈夫なのだが、生放送だとそうは行かない。だから私は、生放送のときはいつも以上に力を入れているのだ。そのぶん、かなり疲れるけど。

「Mariちゃん、こっちの歌用のステージに移動してー」

「はぁいっ」

スタッフに呼ばれ、いつも通り、「Mari」を演じる。このあとは、歌を歌う。歌っている時が、仕事の中で一番楽しい。歌っている時だけが、みょうじなまえとしての自分も、Mariとしての自分も忘れられる気がするから。

「CM終了5秒前ー!」

監督が、そういって、手で3、2、1と示す。CMが終わったと同時に私のデビュー曲のイントロが流れる。そして、いつも通りのタイミングで歌い始めた。


私はなんだかんだで、歌うためにアイドルをしてるのかもしれない。


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