※へっどふぉんあくたーパロっぽい





大人げなく、すすり泣く声で、どこかの国の大統領は言った。

『非常に残念なことですが、本日地球は終わります』

地球が、終わる?
そんな、漫画みたいな話、あるわけない。
また、学園長の気まぐれだろう?

そう思っていたけれど、聞いていたラジオは、全国放送のものだし、疑う必要なんてない。なのに、疑ってしまう。

だめ、考えちゃ。そうだ、今度、翔くんに歌わせてあげようと思っていた曲を聞いて、編曲しよう。私はそう考えてヘッドフォンを耳につけた。

曲を選ぼう、としたとき、ザザザと雑音が流れた。まだ曲を選択してないのに。ウォークマンの画面を見ると、不明のアーティスト名、タイトル不明のナンバーが、流れていた。そして、声が流れ出す。


『 生き残りたいでしょう? 』



その声は、確かに私の声だった。







交差点は大渋滞、人々であふれかえっている。人混みが苦手な私は少しうぇっ、と吐きそうになりながらも、走った。
先ほど流れた、私の声は要約すると『丘を目指せ』と言った。だから、指示に従って走っているのだ。なぜ、指示に従ったのか。いたずらだ、と思わなかったのか。自分でもわからない。でも、指示に従わないと、後悔する気がした。

走っている間、色々なことを考えていた。走馬灯、とも言うのかもしれない。
小学校、中学校、高校、早乙女学園―――。

(っ、春歌ちゃん、一十木くん、聖川くん、四ノ宮さん――…)

Aクラスのみんなを思い出す。Aクラスは、みんな笑顔で楽しそうだった。みんなといるだけで、心がぽかぽかと暖かくなったりした。

(神宮寺くん、一ノ瀬くん、)

Sクラスのふたりのことも思い出す。神宮寺くんは女の子で遊んでいたりしたけれど、根はやさしかった。なにより、彼の紡ぎ出すサックスの音が好きだった。一ノ瀬くんは人気アイドルHAYATOそっくりで、双子らしいけど、そんなこととは別で才能があって、努力家で。彼のボーカルを聞いてるとつい聞き入ってしまうような。素敵だった。


(―――翔、くんっ……)

最後に、大好きな彼を思い出した。パートナーで、恋愛禁止令があって告白はできないけれど、大好きで、一緒にデビューしよう、と約束した翔くん。ちっちゃくても、その倍くらいは男らしい、翔くん。バイオリンが凄く上手な翔くん。帽子が似合う翔くん。

もう、これで終わりなんてやだよ。翔くんに想いを伝えたいよ。

そんなふうに思っても、“声”は待ってくれない。『あと12分だよ、』と告げた。私は必死に足に力を込めて、とにかく駆けていった。

もう少し、あと少しで、丘だ。
もし生き残れたら、翔くんに想いを伝えるんだ。
そう考えていたら“声”の『駆け抜けろ、もう残り1分だ』という言葉さえ聞こえなくて、とにかく無我夢中に走って、丘にたどり着いた。






「つい、た、」

声がかすれている。そこから見る街の風景は、まるで実験施設のようで。上を見上げると、いつもと少し違う、何か、壁に映し出したような、空。否、空を映している、壁なのか?なんだかよくわからなくて、頭がぐるぐるとする。
その向こう側に、白衣をきた研究者らしき人が、手を打ちながら「素晴らしい」と言った。素晴ら、しい?なにが?

「さすがは、我々の作り出した主役。君には生きる権利を与えよう」


作り、出した?私は私なのに。生きる、権利?なに、それ。

「私には、って、翔ちゃん、とか、みんなは一体、どうなる、の、」

私が必死に紡ぎだした声は無視されて、研究者はポケットから何か小さな箱をだした。


「もう不必要だ、」彼はそういい、片手間に箱を投げた。箱は放物線を描き、私たちの街に落ちていき、爆破、した。


「――――っ!」

爆風が去った後、その場所には何もなかった。普通なら瓦礫などがあるはずなのに、真っ白の、箱庭の世界のようで。

「翔、く、」

きっと、この丘に来たとき気づいてたんだ。この場所は、今まで生きてきたここは、ツクリモノのセカイだということに。

「翔っ、く、んっ……!」

もう居ない存在に、必死に語りかける。翔くん、好き、大好き、大好きなの。

私は床に膝をついて涙を流していると、またヘッドフォンの向こうから雑音と声が聞こえた。


( ごめんね、 )


目を疑う





じんさんの曲が好きすぎてパロかいてしまいました←
へっどふぉんあくたーも好きですが、何気に想像ふぉれすとが一番好きです。
ちなみにキャラはカノくんが…!
いつか夢かきたいなあ……
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