「うわー、びしょびしょッスねー…今タオル持って来る」
「ごめんね、黄瀬くん。急によっちゃって」
「大丈夫っスよ!ほらこれで拭いてくださいっス」
差し出されたタオルを素直に受け取り、ありがとう。というとどーってことないッス!とまた笑った。
今日、私は黄瀬くんと帰っていたのだが、突然の通り雨が降り出し、すぐちかくであった黄瀬くんの家によらせてもらったのだ。
「雨、止みそうにないっスねー…そのままじゃ風邪ひいちゃうから、俺のTシャツ持ってくるッス」
頭をガシガシと拭いていると、そういう黄瀬くん。えっ、悪いよ、と言う暇もなく黄瀬くんは自室へ行ってしまった。しばらくして戻ってくると、手には白地にプリントされているTシャツと、灰色のスウェット。
「こんなんでよかったら、しばらく着てて下さいッス」
「え、と、本当にありがとね」
私が笑うと、黄瀬くんもふわりと笑う。やっぱりモデルだから笑顔が素敵だなー…と思いながらTシャツとスウェットを見つめていると、あ。とひとつ気がつくことがあった。
「ごめん、借りたのはいいんだけど…どこで着替えればいいかな?」
「あっ…お、俺、しばらく自分の部屋にいるんで、着替え終わったらノックしてくださいッス!」
少し頬を染めながら、さささっと自室へと走っていく黄瀬くんに少しくすりと笑いながら、私は着替え始めた。
雨の日