「そういえば気になってたんですけど、」
ふと、奈々ちゃんが思い出したかさのようにぽつりと言った。
「なまえ先輩って、二年の時からマネージャーだったんですよね?」
「うん、そうだよ?」
「リレーショナーはやらないんですか?」
ぴたり。私の動きが止まる。だらだら、と冷や汗が流れるのが分かった。奈々ちゃんになんて言い訳しよう。奈々ちゃんは動きが止まった私を不思議に思ったのか、首をかしげている。ああ、奈々ちゃん可愛いなあ。我がスト部の癒しだなあ。って、そんなことより言い訳考えないと、とシンキングしていたら。
「教えてあげようかー?」
「小日向先輩!?」「小日向くん!?」
にゅっ、とテーブルの下から顔を出してきたのは小日向くん。ふふふ、と笑う小日向くんは今日も女子顔負けの美人さんだ。、ってそんなことより、小日向くんまさか、アレを言うつもり!?
「あのね、なまえちゃんはー……」
「きゃああああ!! 小日向くん言っちゃダメ!!」
「え〜、別に言ってもいいと思うけどなあ。それに、桜井さんだって気になってるみたいだし」
その小日向くんの言葉にぶんぶんと顔を縦に振る奈々ちゃん。えええ……。恥ずかしいから言いたくないよ! でも、上目遣いでこちらを見つめる奈々ちゃんを見ていると……なんだか言わなくてはならない雰囲気になっているような気が。
「あ、じゃあ、なまえちゃんに『スリー、ツー、ワン、GO!』って言ってもらおうか」
「ええ!?」
「なまえ先輩、やってください!」
きらきらとした瞳で「お願いします!」と言う奈々ちゃん。
「さあさあ、なまえちゃんのリレーションまでー?」
「ええっ、ちょ、小日向く……!?」
「さん、にー、いち、きゅー!」
ああ、もう、どうにでもなれ!!
「しゅりー、ちゅー、わん、ごー!!!」
「……」
「……」
は、恥ずかしい!案の定噛んじゃった!
穴があるなら入りたい……!!
「このように、なまえちゃんは緊張してしまうと滑舌がヒジョーに悪くなってしまうのです」
「そうだったんですね……」
奈々ちゃんに憐れみの目で見られてます。ほんと、恥ずかしい。軽くしにたいレベル。
「うぅ……小日向くんのばかぁ……恥ずかしい………」
「えー? 僕、なまえちゃんのそーゆーとこ、好きだよ?」
「え」
今、彼、問題発言しましたよね……?
先ほどの小日向くんの発言を理解すると、顔が沸騰でもしたかのように熱くなる。
「も、小日向くんのばか……」
そう呟いた声は、誰にも聞かれずに消えていった。
そんな君が大好き!
(あの、先輩、あの二人って付き合ってるんですか?)
(いいや、違うぞ)
(えっ)