「ねえ、カノ」
「んー?」
「なんで、自分を、偽るの?」
私がそういうと、カノ動きが止まり表情が強張る。しかし、一瞬でまたいつも通りのへらりとした表情に戻った。
「なに言ってるの、なまえ! 確かに僕の能力は『目を欺く』ものだけど、別に自分を偽ってるわけじゃないし」
そう言って笑うカノだけど、私は不安だった。カノは、私の大切な幼馴染。だからか、カノが偽っていることが私にはわかるのだ。同じ幼馴染であるセトやキドに分からなくても、何故か私は分かる。それに、私は彼に特別な感情を持っているから。だから、知りたいのだ。何故、彼が偽っているのかを。
「ねえ、カノ、お願いがあるの」
「なーに?」
「私の前だけでも、いいから。本当のカノを、さらけ出して、ほしいの」
「………もー、なまえはさっきから何いってるの? これが本当の僕なんだって!」
ああ、まだ私には、本当の彼を見られないのか。いつになったら、見せてくれるのかな。いつになったら、私は本当の彼を知ることが出来るのかな。
こんなにも、思っているのに。こんなにも、好きなのに。どうして、知れないのかな。
悔しくて、苦しくて、切なくて。どうしようもない気持ちを込めて、私は唇を強く噛んだ。
私はまだ、本当の君を知らない
夜咄ディセイブかっこよすぎて吐血するところでした。
というわけで勢いの短編どーん。