「みょーじ……」

「なんですか? 翔ちゃん先生」

「……真面目に進路希望書けって言ったよな、俺」

「言いましたね。だから私、真面目に書きましたよ!」

「ならなんで『翔ちゃん先生のお嫁さん』って書いてあるんだよ! 何で俺の嫁さん!? 俺が独身っつー当てつけか!?」

「やだ、先生が独身なのって、私がいつでもお嫁に行けるようにですよね?」

んなわけねーだろ!!と叫ぶ翔ちゃん先生。そんな先生も愛らしいです。
現在私は、校内の生徒指導室で翔ちゃん先生こと来栖翔先生と二人きりで指導を受けています。高校二年生になった私は、そろそろ進路を考えなくてはいけない時期。それで、進路希望用紙を配布され、真面目に書いたら――先生に呼び出されたのである。
それにしても、呼び出したのが美風先生とか日向先生とかじゃなくて良かった。あの二人怖いし。まあ、私の担任が翔ちゃん先生だから当たり前だけど。

「……真面目にさあ、お前、進学希望なの? それとも就職?」

「翔ちゃん先生のお嫁さんに永久就職です」

「だーかーらー……」

はあ、と溜息をつく先生に「幸せが逃げますよ?」と教えると「もう十分逃げてるよ……」と自身の頭をわしゃわしゃと掻いた。

「ったく……せめて進学希望なのか、ハッキリさせろ。真面目に考えろよ? 冗談はナシだからな! 明日、また聞くから。じゃあ、今日はもう帰ってよし」

「はぁーい」

だるく返事をして、先生さよーならと言いながら生徒指導室を出る。先生の、おう、じゃーな。という声を耳にしながら廊下を歩く。

「先生のばーか」

小さく呟く。私は、真面目に考えているのに。本当に、翔ちゃん先生のことが好きだから、あーやって書いたのに。先生は、冗談としてしか受け止めてくれない。先生、お願いだから、私を見てよ。生徒のみょーじなまえじゃなくて、一人の女の子のみょーじなまえとして、見て。

先生、こっち向いてよ

(大好き、なのに)
(どうして伝わらないの?)





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前から暖めてたネタなんですが、公式のもしものプリンスさまっ♪のトラックリストが出たときにこれは書くしかないと思ったんですけど、書く暇がなくてやっと書けました。
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