朝。それは私にとって、一番苦手な時間帯だ。
なんせ、私は朝に弱い。すこぶる弱い。家族は割と寝起きはいいほうなのだが、私は目覚ましをかけても目覚まし時計の電源を切り、睡眠に徹する。それくらい、朝が苦手なのだ。

ゆっくりと瞼を開けて時計を見ると、現時刻8:30。うん、まだ寝ても大丈夫なんじゃないかな。眠いし。よし、寝よう。と思い布団をかぶった、ら。

Pipipipi...

「ん……?」

目覚まし時計の音ではなく、携帯の着信音が鳴る。誰だろう。眠いし、取らなくてもいいかな。いいよね。寝てると思ってすぐ切ってくれるよね。……でも、いつまでたっても切る気配がない。いい加減取ってあげようかな、と思い、着信相手を確認せずに、電話に出た。

「もしもし……」

『お、やっと出たなー? おはよう、なまえ!』

「……いなばさん?」

電話の相手は因幡さんでした。というか、なんでこんな朝早くに電話? 因幡さん暇なのかな。

『つーか、お前ほんっと朝よわいなー。何コール待ったと思ってんだよ』

「すみません、眠くて。睡魔には勝てませんでした。というか、何で急に電話したんですか?」

事務所の連絡事項なら、メールでいいのに。
そう伝えると、因幡さんは「んー……」と悩んだ後、

『なんつーんだっけ? こーやって、朝、電話で相手を起こす?みたいな感じのサービス』

「……モーニングコール、ですか?」

『そーそー、それ! それやってみたかったんだよー!』

にひひ、と電話の向こう側で笑う因幡さん。というか、やってみたい、というだけで私を起こしたんですか。私の睡眠時間返して下さい。……と思ってはいるものの、朝から因幡さんの声を聞けて嬉しいのもまた事実。なんだ、この矛盾した感情は。

『とりあえず、まだ圭も優太も来てねーし、暇だから、事務所に来ーい』

「はいはい、分かりました。準備が終わり次第、向かいますよ」

『おー、待ってるからなー!』

また後でな!という声と共にブチッと通話が終了した。さて、と。探偵様がお暇だそうですし、早速出かける準備をしますか。私は布団から出て、カーテンを開けた。入ってくる日差しが気持ちいい。今日は何だか、いい日になるような気がした。


モーニングコール

(因幡さーん、おはようございまーす)
(おっ、おはよ、なまえ!)




------------
毛探偵にはまりました。
因幡さんと圭くんが好きです。
遥くんも好きです。
でもアニメしか見てません。
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -