『俺はもう、お前しかいらねえ』
『ゆう、と』
『だから、お前も俺だけを求めろ』
『え………んっ、』
テレビの画面上で熱いキスを繰り広げる綺麗な女優さんとあたしの恋人。テレビの中では甘い雰囲気、だけどあたしの心にはもやもやとした感情があった。
「蘭丸は私のなのに………」
思わずそんな言葉が出てしまう。今見ているのは連続恋愛ドラマ。主演は蘭丸と、今人気沸騰中の可愛い女優さん。この女優さん、ただの作曲家のあたしと違って、ほんとに可愛いよなあ。蘭丸もわりと乗り気だったんじゃ……。と思ったところで、ぴっ、とテレビ画面が変わった。
「あっ」
「何見てんだよ」
「蘭丸………」
後ろを振り向くと、風呂から上がったのか、髪をぬらした蘭丸がリモコンを持っていた。
「ていうか、勝手にチャンネル変えないでほしいんだけど」
「あ? 俺がみてえ番組があんだよ」
そういってテレビの方をチラ見すると、ロックについて特集をしている音楽番組だった。まあ、蘭丸のことだから、こーゆーのだとは思ってたんだけどね。
「あたし、さっきのドラマ見たいんだけど。蘭丸主演だし」
「あんなの、見なくていーんだよ。俺が主演とか関係ねぇ」
「関係なくない。あたし、出来れば蘭丸の出てる番組は全部チェックしたいし」
ぶすーっと唇を尖らせると、ブサイクな顔になってんぞ。と蘭丸に言われ、いらっとした。
どうせ、元々ぶさいくだし。そんなこと今更だし。
「おい勝手に拗ねんな」
「拗ねてないし」
「拗ねてるだろ」
そう言いながら後ろから抱きしめてくる。何故か、抱きしめ方がいつもより優しい。ていうか、蘭丸の髪濡れてるからあたしの服濡れるんだけど。
「大体、俺の出てる恋愛ドラマみて不機嫌になるくらいなら、見ねえほうがいいだろ」
「別に、不機嫌になってませんー」
「嘘つけ」
そう言いながら蘭丸は私のほっぺたを指でぐいぐい指してくる。正直ちょっと痛いのでやめてほしい。大体、不機嫌じゃなくて、心がもやもやしてて、なんというか、所謂あの女優さんに嫉妬してるだけであって、嫉妬するのはあたしの勝手だし。なんて色々と考えていたら、突然唇に柔らかい温もりが触れた。
「なっ……!」
「オマエは俺の女だから、嫉妬なんてしなくてもいーんだよ」
「ちょっ……!」
文句を言おうとしたら、また唇を塞がれた。さっきのドラマよりも熱くて、とろけそうになるキス。
蘭丸の馬鹿。そんな横暴なこと言って。でも、それでも、やっぱり、あたし蘭丸のこと好きだ。
そんなことを思いながら、あたしたちはキスを続けた。
My Lover,Your Lover-----------
企画「Words」に図々しく、また参加させていただきました←
よく分からなくなった(´;ω;`)
何気にこういう強気夢主は初……な気がします…!