さみしい。
一人でごろんとソファに寝転がって思った。いつもは一緒にいてくれる嶺二くんは現在マスターコースの教官しており、別の寮に住んでいる。最初は嶺二くんなんていなくても大丈夫!と思っていたけれど、やっぱりそれは無理な話であって。嶺二くんのからあげ食べたいなあ、とか。嶺二くんのぬくもりを感じたいなあ、とか。ついつい嶺二くんのことを考えてしまう。
「れーじくーん…おなかすいたー……」
誰もいないと知っていながら一人呟くと、まるで返事をしたかのようにケータイの着信音が鳴った。この着信音に設定している人は一人しかいない。嶺二くんだ。そう思った瞬間、私は急いでケータイをとり、通話ボタンを押した。
「も、しもし」
『あっ、なまえちゃん元気〜?』
いつものおちゃらけた風に聞く嶺二くんの声に少しほっとした。元気だよ、と伝えると予想もしなかった答えが返ってきた。
『も〜、なまえちゃん嘘ついちゃダメでしょっ』
「え」
『ホントは寂しいんでしょ?お兄さんにはわかっちゃうもんね〜』
「え、あ、ちょ、」
『あれ、違った?』
違わ、ないけど。とぼそぼそと呟く。ああああ、なんか嶺二くんにばれていたというのがなんだか恥ずかしくて、でも嬉しくて。ケータイからなはっ、と笑っている声が聞こえて、さらに恥ずかしくなる。
『なまえちゃんは寂しがり屋だもんね、しょうがないよ』
「……どうせ寂しがり屋だもん」
「『でも、僕が着たからもう寂しくないよ』」
急に声が二重で聞こえてバッ、と後ろを振り向くと仕事の衣装のままの、嶺二くんがいた。
「え……嶺二くん、なんで………」
「なまえちゃんが寂しくないように☆ ……なーんて、ホントは僕が会いたかったからなんだけどね」
いつもの笑顔を浮かべる嶺二くんを見て、自分に会いに来てくれたことがどうしようもなく嬉しくて、胸が暖かくなって、何故だが目頭も熱くなった。
「うわわっ、ななな、なんで泣いちゃってるの?!そんなに寂しかった……!?」
「な、いて、ないもん!」
ごしごしと服の袖で、瞳に溜まった何かを拭きとる。強く拭きすぎて少し目のあたりが痛くなったけど、気にしない。
「全く、意地張るんだからも〜……。それより、お夕飯食べた?まだならなんか作るけど」
「……………まだ、だけど。ちょっとこっちきて」
「ん?どーかしたの?」
こっちにとてとてとやってくる嶺二くんを私はぎゅう、と抱きしめた。突然のことで嶺二くんは驚いたようにえっ、と小さく声を漏らした。
「嶺二くん分を充電ー……」
嶺二くん欠乏症だったから、と付け足すと嶺二くんは「そんなの、反則」と優しく抱きしめ返してくれた。ちらりと見える横顔は、少しピンクに染まっていた。
私は嶺二くん限定で泣き虫で弱虫で寂しがり屋なんだから、少しくらい充電させてよね。
なきむしよわむしさみしんぼ------------
L.I.P.に参加させていただきました(^o^)
コンセプトに…沿っていないよ…!