「ね、ねぇ……レンー……まだー?」

「ちょっと待ってよ……それにそんなにふるえてると、変な所に穴があいちゃうよ?」

「そっ、それだけはやだ!」

「だったらほら、動かないー」

「えっで、でも……うぅうう、もうやめる!」

私はどん、とレンの胸板を押すと後ろのベッドに倒れ込む。レンの表情をちらりと見るとやれやれと呆れている。はいはい、どうせ子供ですよ。悪かったですねー。

「全く……レディからピアス穴開けたいと言い出したのに………」

「だ、だってさー……」

もじもじと両手の人差し指をお互いにつんつんとつつきながら目を逸らす。ピアス穴開けたい、でも恐い。矛盾する思いに私は溜息をついた。

「大体、なんで急にピアス穴開けたいだなんて言い出したんだい? レディは痛いコトとかは嫌いだったはずだろう?」

「うっ」

痛いところをつかれて言葉が詰まる。理由はないこともないけれど……言うのが恥ずかしい。というか、言いたくない。言ったら負けな気がする。

「レンには教えない!」

「じゃあ無理やりピアス穴開けちゃおっかな」

「ごめんなさい教えます」

あっさり敗北してしまった。くそう。

「それで、どうしてなの?」

「えっと………レンってピアスしてるじゃん? そ、それで、私もおそろいの付けてみたいなーなんて思ったりして………それで、レンのものって、証みたいなの欲しいし………」

ぼそぼそと言ってみてやっぱり恥ずかしくて顔が真っ赤になるのが分かった。顔を俯かせると急にぎゅっと抱きしめられた。え、ちょ、どーいうこと。

「レ、レン……?」

「ほんっと、なまえって可愛いよね………そーゆうの、反則じゃないかな」

レンの顔をちらりと見てみると少し頬が赤かった。呼び方も名前呼びだし……もしかしてレン、

「照れてる?」

「………本当に、なまえはそーいうこと直球に言うよね」

照れてるレン、可愛いなー。と思ってぎゅっと抱きしめ返すと、レンに「ちょっと、可愛いとかそんなこと考えてない?」と言われた。とりあえず首を横に振って置いたけど、お前はエスパーか。

ふぅん、と短く生返事をしたレンは私の首元に顔を埋めた。わ、ちょ、

「ちょ、レン、くすぐった…………っ、」

ちくり、と首元に小さな痛みがしたと思ったら、レンが首に顔を埋めるのをやめた。その表情なんだか嫌な予感しかしなくて、さっきまで顔を埋めていた部分をみて、あぁ、やっぱりと思った。

「これで、ピアスをつけなくても大丈夫だろ?」

「ん……恥ずかしいけどね」

ふふ、と笑いながら、つけられたキスマークをみつめた。


君のものだという証
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