『えぇいっ、くそっ、なんでこの私が……!』

「………?」

徹夜明けのある日。私は昼過ぎに起きて、誰もいないはずのキッチンからキィキィと鳴き声と共に声が聞こえてきた。不思議に思い、キッチンを覗くと必死にジャンプしてるリスさんがいた。

「リスさん、なにやってるの……?」

声をかけると、む、とこちらに目を向けるリスさん。

『貴様誰だ!? 私はお前のような人物をみたことない! 不審者か!?』

「ち、違うよ。私もこの家の人間、だよ」

『むむっ、それは本当か? 怪しいぞ!』

「ほ、本当だもん」

ぷくー、と頬を膨らませる。疑うなんてひどいリスさん。とりあえず証拠を見せようと思い、私はポケットに入っていた名刺を取り出してリスさんに見せた。

『朝日奈、なまえ……というのか、貴様は』

「うん………ちなみに、るーちゃんと双子、だよ」

『ルーチャン…?』

「琉生。朝日奈、琉生のこと」

『ルイと双子なのか! ならば怪しい人物ではないな!』

急に輝かしい顔になったリスさん。その後、ハッとした顔になって、そうか、だから何気にコイツと私は喋れるのか……、とぶつぶつ言っていた。あ、そういえばリスさんの毛並み、すごくいい。るーちゃんにやってもらってるのかな。

「そーいえば、リスさん」

『私はリスさんではない、ジュリだ』

「じゃあ、ジュリさん。さっき、なにやってたの?」

『あぁ……菓子を取ろうとしていたのだが、中々取れなくてな…苦戦していたのだ』

お菓子?と首を傾げて、ジュリさんの視線を追う。するとそこには、マカダミアナッツのチョコレートがあった。リスって……チョコ、食べれるのかな?まあジュリさんが食べようとしてたなら、食べれるのだろうけど……。

「私、とってあげようか?」

『本当か!?』

「ん……。だから、仲良くしてくれると、嬉しいな」

『もちろんだ!よろしくな、なまえ』

「うん」

ジュリさんが手を差し出してきたので、私はその手を握った。
これが私とジュリさんの出会いだった。




(あ)
(どうしたんだ、なまえ。で、出来れば、早く取ってほしいのだが…?)
(届かない)
(……)
(……)


(その後、るーちゃんに取ってもらいました)

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