恋愛、恋、愛、恋しい、愛しい。
そのような言葉を脳内に並べて、うーんと唸る。

先日、色々とお世話になっている人から、仕事を貰えた。
それは、とても、嬉しいこと。
でも。

『恋愛をテーマにとりあえずラフ書いてきて』

そんなことを言われたけれど、私は“恋”というものを経験したことがない。なので、いまいちイメージが湧かないのだ。うぃきぺでぃあさんに聞いてみても「人間が他人に対して抱く情緒的で親密な関係を希求する感情で、また、その感情に基づいた一連の恋慕に満ちた態度や行動を伴うものである。」、とよくわからない説明だった。

「あ、そうだ」

そんな時こそ、誰かに相談しよう。
そう思い、私はリビングへと向かった。



「え? あ、なまえねぇ」

「あ……ゆーちゃん、帰ってきてたんだね、おかえり」

「おう、ただいま」

「あだなちゃんあだなちゃんっ!遊ぼー!」

「うーん……あとで、ね」

リビングに行くとゆーちゃんとわたちゃんがいた。わたちゃんに相談するのは、ちょっと早い、気がする。ゆーちゃんは……いつもならのってくれそうだけど、今回は“恋愛”についてだから、あんまり頼りにならなそう。うぅん、どうしようか。

「ただいまー」

「あ、かな兄。おかえり」

「かなかなおかえりーっ」

ちょうどのタイミングで、かなちゃんが帰ってきた。そうだ、かなちゃんに相談しよう。かなちゃんって、こーゆーの詳しそうだし。

「かなちゃん、かなちゃん」

「ん?なーに、あだなちゃん」

「恋愛、ってなーに」

ぶふぉっ、と誰かが吹いた。
誰だかは大体予想できる、けど、汚いからやめてほしい。かなちゃんはかなちゃんでなんかニヤニヤしてるし。

「どうしたの、あだなちゃん。もしかして好きな人でもできた?」

「断じて違う」

「否定するのはやいね……」

あはは、と苦笑いするかなちゃん。そんなことより、恋愛について、教えてほしいんだけど。

「うーん、恋愛、というか恋というのはね、俺が考えるに、『欲求』だと思うんだ」

「よっきゅー……」

「うん。一緒にいたい、とか、傍でずっと見ていたい、とか、全部『欲求』でしょ?俺は『相手を求めること』が恋だと思うよ」

「相手を、求める………」

かなちゃんがいったことを復唱して、考える。欲求、相手を求める、のが、恋。うーん。

「よく分からない」

「まあ、そのうちあだなちゃんにも分かると思うよ」

「うーん……まあ、とりあえずありがと」



(ちなみに)
(その後、よくある少女漫画の表紙を参考にして書いてみたらOKを貰えました)
(だけど、恋愛は、まだよくわかんないです)

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テーマ「人外ファンタジー」
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