「白龍」

「……なまえ」

「シンドリアに行っちゃうって……本当なの?」

「……! ええ、本当のことです」

白龍にいつもの笑顔で肯定され、私は戸惑った。白龍は私の幼馴染。隠し事なんて、ほとんどしたことない。そんな白龍が、初めて私に隠し事をした。シンドリアに行くということを教えてくれなかった。それがすごくショックで。

「シンドリアに行く、といっても、留学です。すぐに戻ってきますよ?」

「……」

「だから、そんなに泣きそうな顔をしないでください」

ふわり、と白龍は私を抱きしめる。相変わらず優しい抱きしめ方だ。すごく暖かくて、つい白龍に身を委ねてしまう。

「ちゃんと、なまえの元に帰ってきますから。大切な、貴方の元へと」

「……無事に帰ってこなかったら、罰ゲームだからね」

「もちろん、覚悟していますよ」

白龍の"大切"が私とは違う"大切"でも、今はまだそれでもいいと思った。

君のぬくもりに全てを委ねて

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