「デビュー一周年おめでとー、みょーじ!」

自分の部屋に入ると、いきなり響いたクラッカーの音に、驚かなかったと言えば嘘になる。

「...な、な、な」
「おめでとうございます、なまえちゃん!」

目の前には、クラッカーを持った音也、翔、春歌ちゃんの三人で。
何事だ。何事なんだ。

「おい、何固まってんだよ」
「ここ、私の部屋だよね」
「そうだよ?」
「間違えたとかでも、ないし」
「なまえちゃんの部屋ですよ」

どうやって入ったんだこいつらは。
...いや、つっこむのはよそう。今は、そう。

「えっと、なんだっけ」
「んだよ、反応薄いな」
「デビュー一周年だよ!忘れてたの?」
「...あれ、一周年」

もうそんなに経ったんだっけ。

「他の皆さんは予定があって無理だったので...せめて私たちだけでも、とサプライズパーティーを...」
「ほら、七海がケーキ作ってくれたんだぜ!」
「一周年でケーキって...そんな大袈裟な」
「大事な記念すべきイベントだろ?ほら、音也、七海、切り分けようぜ」

てきぱきと動く三人に、ひたすらぽかんと突っ立ってることしかできない私。
いや、だっていきなりすぎて。驚いたのとか、嬉しいのとか、第一、覚えててくれたんだ、日にち...なんてちょっと感動して。

「......」

なんて、暖かい人たちなんだろう。
もう思いやりの塊のような奴等だよね、畜生大好きだ。

「みょーじ、ほらほら!」
「ケーキ、切り分けますよ」
「主役がいないと意味ねえだろ」

ケーキを囲んで、私を呼ぶ三つの声に、頬が緩む。
やばい、顔にやける。嬉しすぎて。

ごめ、しばらくそっちに行けそうにない。
嬉しすぎて、泣きそうだから。










落ち着くまで、少し待って







(一周年、ありがとう)


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