short | ナノ


「剣城剣城」「なんだよ」呼びかけると返ってくる言葉は冷たいものの、歩幅を合わせてから立ち止まってくれる剣城の前に回り込んで、俺よりも背の高い剣城の顔を見上げる。不思議そうな顔を浮かべて俺の顔を少しつり上がった目で見ている剣城を見ながら息を吸うと、俺の心臓が大きく跳ねる音が体全体に伝わる。深く深呼吸をして、もう一度なんだよ、と呟く剣城の目を見ながら声を張り上げる。「京介!」「は?」馬鹿か、という言葉を残して立ち去った剣城の髪から覗く耳が真っ赤になっていたのは俺だけの秘密かな。

聞いてくれるかな


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