ぱちん。その音源は隣にいる臨也である。さっきからずっと暇そうにばちばち鳴らしていて、いい加減うるさくなってくる。
「何でずっと鳴らしてんだよ」
少し苛立ち混じりに聞く。臨也は静雄を無視して同じように鳴らし続けている。――何が楽しいんだか。静雄が小さく舌打ちをすれば臨也は手を止めて、なんとなくだよつまんないからさ、と口を尖らす。変なところで子供っぽくて思わず笑ってしまう。臨也はなんで笑ってるのと不機嫌そうにしていたが。
「シズちゃんは鳴らせる?」
「それぐらいできるっつの」
さっきとは違う笑みを浮かべながら聞いてくる臨也はまたぱち、と音を鳴らして見せた。――前は出来たけど今はどうだろうな。だが、臨也には負けたくないしそれぐらいできる、と思わず抗議してしまったからにはやらなくては。
ぱちり。
鳴った…よかった。臨也より少し音が大きい気がして何か勝った気分になって臨也に笑う。
「言っただろ?」
「…なぁんだ、つまんなーい」
心底つまらなさそうにため息をつく。そういえば一時期流行ったなぁ、指鳴らし。自分が鳴らせるようになったのは流行る前だけど。流行った理由が今の臨也に合っている気がした。
「…指鳴らせるって、なんかかっこいいよな」
「そうかもねー、シズちゃんみたいだ」
…俺は臨也の事を言ったんだけれど。
これでも臨静
(2011/02/09)
書き直しました
2011/09/03
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