空の下




屋上に行く。
特になんの理由もなく。
取り合えず空が見たかった。
授業をサボり屋上へ行くと

「…………」

なぜかノミ蟲がいた。
なんでいつも都合のいいときにいやがる。

「いーざーやー」

喧嘩を売るつもりで話しかけたが反応がない。
近くまで寄ると丸くなって寝息を立てていた。
珍しい。こいつが無防備な姿をさらすなんて。
なにもしてこない臨也に喧嘩を売るなど意味がない。取り合えず無視。
完全に違反行為だが煙草を取り出す。
ライターで火を点け紫煙を吐き出す。
青い空に紫煙が登って行くのを見る。
今日も変わらず青い。
都会の空気は悪いがそこまで嫌な気もしなかった。

「はぁ…」

紫煙と共に吐き出すため息。
それもまた空へ消える。
どこまであるんだろう。
この空は。
ちらっと丸くなっている黒いのを見やる。
肌寒いのかさっきより丸くなっていた。
寝ている時は体温が下がるらしい。
臨也でも寒いんだな。
見ていると面白い。
小さく声を上げたり寝言を言ったり。
普段は見れない。

「たまには、な。」

寒そうに丸まっている臨也に自分のブレザーを掛けてやる。
やっぱり暖かいのかブレザーに顔を埋めすーすーと寝息を立てる。

「案外可愛いな」

ふとそう思った。
もう少し見ていたいとも思った。
そばに座り頭を撫でる。
さらさらしていて触り心地がいい。
しばらく撫でていると臨也が目を開ける。

「ん…」

「おぉ、起きたか」

臨也は静雄の声に驚いたらしい。
少し目を見開き、そのあとすぐ眠そうな表情に戻し目もとを擦る。

「おはよ」

「んぁ…おはよ…なんか…あったの…?……どうしたの?…俺に何か…ようでもあった?」

まだ寝起きの声で小さく問う。
少しは混乱しているらしい。

「特にはねぇよ。偶然お前がいたんだろ。あとなんか寒そうだったから、それ」

かけてやったブレザーを指差すと眠そうだった目をまた見開き、赤くなって隠すためなのかブレザーを頭から被った。

「…シズちゃんの匂いがするなぁと思ったらこれか」

完全に眠気は今ので覚めたらしい。

「悪かったな、変な匂いで」

「ううん。安心する。いい匂いだよ」

香水なんかより全然いい匂い。
ふわっと笑って静雄のブレザーを頭から下ろしぎゅうっと抱き締め顔を埋める。
それにふいにどきっとした。
臨也に。まさかな。

「ありがとう」

嬉しそうに笑う臨也は可愛らしくて本当にどきっとした。
きっと顔は真っ赤だ。
多分、きっと、俺は臨也が好きらしい。

「どうしたの?赤いよ?どっか痛いの?」

お前のせいだよ。
頬を両手で包んで心配そうに顔をのぞきこむ臨也。

「シズちゃん?」

我慢できず臨也の肩を掴んで唇を重ねる。
臨也は突然過ぎて、それに寝起きってのもあるのか反応が追い付いていない。

「ん……」

でも臨也は拒んだりせずに素直に受け入れた。
開けたままの目を段々と閉じ甘受けする。
ゆっくり唇を離すと臨也も同時に瞼を開ける。睫毛長いな。

「…ごめん」

「……なんで」

「好きだから。好きじゃないとこんなことしねぇよ」

「……ばかじゃないの」

真っ赤になってまたブレザーを頭から被る。
それもまた可愛く感じてブレザーをどけてまた頬に口付ける。
それだけでまた真っ赤になってばかと呟く。

「断らねぇってことはいいんだよな?」

「それぐらい……分かってほしいんだけどな」

抱き着いてぐりぐりと頭を押し付けてくる臨也が可愛くて抱き締める。
ちょっと苦しいのか苦しい苦しいよとか言いながらも離れようとはせず、それどころか抱き着いてきた。

「……仕方なくなんだからね。抱き着きたくて抱き着いた訳じゃないんだから」

赤くなった顔で言われても説得力ない。
それに…
ツンデレって言うのかな、これ。






オチがない/(^O^)\
(2011.01.03)



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