不意に近付いてくる顔にぎゅっと目を瞑れば唇に柔らかな何かが当たる感じがした。薄く目を開ければラビも目を開けていたようでばっちり目があってしまい反射的にまた目を瞑ればふっとラビの小さな笑い声が聞こえた。と思えばぐっと引き寄せられて口の中に何かが入ってくる。
「ん、んっ…ふ、ぅ…っ」
絡め取られた舌、口内を蹂躙していくラビの舌に少しづつだが快感を感じた。気づけば自分からも絡め合わせるくらいにキスに夢中になっていて。どっちのものかわからない唾液がアレンの口端から溢れ落ち、服を汚した。
「らび、っ…ん」
ラビにしがみつきながらの長くて濃厚なキスはアレンの頭を甘く痺れさせるほどだった。唇が離れたあと、ラビはアレンの顎を伝う唾液を綺麗に舐めとる。
「、っ」
ひとつひとつのことにびくびくと反応しながら頬を染めるその仕草とキスのあとの濡れた赤い唇、潤む瞳、息苦しさに忙しく上下する胸、全部が合わさって余計に艶かしくて無意識にラビは生唾を飲んだ。
「アレンってえっちぃんだな」
「っ…なに言ってんですか」
ラビの言葉にアレンは真っ赤になって睨み付けてくるが潤んだ瞳では迫力も何もないから、ただ可愛いだけだ。これ以上はここですることは出来ないし、アレンも可哀想かなと思うので軽くリップ音をたててのキスだけしてやる。
「こんなとこでやってたら見られちゃうかもな」
「…今さらでしょ、そんなの」
そんなことを言い苦笑すれば、ファインダーの蝋花たちが向こうの方からやって来て、蝋花がウォーカーさーんと手を振る。お互いに咄嗟に離れて立ち上がったが蝋花たちは別に気にも止めていないようだった。
「危なかったさ…」
ラビが小声でそう言えばアレンはくすりと笑う。――でもいっそ見つかっておけばラビは取られませんよね。なんて笑って言うもんだから思わず赤くなってしまった。それはこっちの台詞なのに。―――蝋花に取られないようにちゃんとしないと。などと一人心のなかでラビが決意していることを知らないアレンは近付いてくる蝋花たちに手を振り続けていた。
おまけにするくらいならあげなくてもよかったんじゃね?とか終わってから思った
(2011/09/03)
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