「シズちゃんこれかけてみてよ」

差し出されたのは黒斑の眼鏡。臨也は目が良いから多分だて眼鏡だろう。臨也はそれを差し出しながらにこにこと笑っていた。臨也のことだから眼鏡も似合うんだろうなと純粋に思えてしまうのがなんとも苛つく。

「あぁ、からかうつもりは無いよ。ただかけてるとこ見てみたいなーって思ってさ」

臨也にしては珍しい。策がないなんて。…半分は嘘じゃないかとは思ってるが。だからといってかけるわけじゃない。臨也のものを使うなんてごめんだ。

「うっせぇなノミ蟲死ね」

「頼みぐらい聞いてくれたっていいじゃない」

けちー、と口を尖らす。
何をやっても様になってしまうのだから本当に苛つく。うざい。

「頼み聞いて俺の得になることがねぇだろうが」

「そうかもしれないけどさ。お願い、ね?」

こうなったら俺がかけるまでこいつはここにいるんだろう。かけてさっさと帰ってくれるのなら居座られるよりいいか。少しでも臨也と同じ場所に居たくないから仕方なくかけることにした。

「………貸せ」

「はい」

「…これでいいのか」

眼鏡なんて初めてだから違和感しかない。新羅はよくこんなものずっとかけていられるな。邪魔だし。コンタクトがいいと言う人の気持ちがわかる気がした。

「………よかった、似合う。あげるよ」

臨也はいつもは見せない裏のない笑みを浮かべながら言う。そう簡単にあげていいのか。臨也のものなんだからきっと高いんだろう。だったら尚更もらうわけにはいかない。
それによかったってどういう意味だ。

「いらねぇよ」

「シズちゃんのために作ったんだから貰ってもらわないと困る」

「はぁ?」

俺のために?なんでだ。俺は目は悪くない。眼鏡もほしいわけじゃない。

「シズちゃんにかけてほしくてさ。シズちゃんに合わせてるのに俺が持ってたら意味無いだろう?」

「でも、」

「だからあげる。たまにはかけてよね」

俺の前だけで。手に眼鏡とそのケースを持たせ耳元でそう囁き帰ってしまった。

「んだあいつ…」

顔が熱いのは気のせいではないだろう。臨也の前だけってどういう意味だ。ふざけんな。馬鹿。心のなかで愚痴をもらしながらも眼鏡をかけてみる。
まぁ…たまにはかけてやろうかな。たまにだけど。






なんか書き方迷子
最近ってか毎回迷子って言ってる気がする
テスト勉強中にできた物体です
多目にみてやって!!←



(2011/03/01)


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