どんな卑怯なことをしたってお前が欲しい。(円蘭?裏) | ナノ
今日もまたいつものように神童と練習をしていた。いつになく好調でこのまま新しい技なんか出来てしまうのではないかと思うほどだ。
「霧野、今日調子いいな」
「ああ!それも神童のおかげだな。」
「はは、そうか。それは嬉しいな。」
そんな他愛もない話をしながら緩いパスを回す。そろそろ練習も終わりの時間に近づいてきたので、神童と片付けを始めた。
「あ、霧野…そう言えば今日早く家に帰らないといけないんだ」
「そうか、なら片付けやっとくから先帰っていいぞ」
「ありがとう」
そう言って急いで神童は帰ってしまった。一人だしそんな急ぐ事もなくタラタラ片付けをしていたら、後ろから視線を感じた。思い切り振り返っても誰もいなかった。勘違いか、そう思って前を向いたら円堂監督がいた。
「監督?ですか?」
「ああ。驚かせて悪いな」
「大丈夫です!監督どうしたんですか?」
「霧野が一人だったから心配して…」
はは、と笑って大丈夫とそう言った。なんだか今日の監督おかしいな。心配してくれるなんてと思った瞬間監督が目の前にいて、顎をくいっと上げ優しくて激しいキスをしてきた。あっという間のことで何が起きたかわからない。激しく抵抗しても大人の力には勝てない。息が苦しくなってドンドン監督の胸を叩いても離してはくれない。軽い酸欠状態でやっと唇と唇が離れた。
「っ監督!?」
驚愕しながら、口を袖で拭きながら気が動転していた。まず何から聞けばいいかわからない。監督の名前を呼ぶことしか出来なかった。
「霧野…」
愛おしそうに名前を呼んで優しく抱き締められたら。けれどさっきのキスで頭の中が混乱しているため素直に受け止められない。抵抗してるつもりだがびくともしない。
「離して下さい!監督…」
「離さない。霧野、」
言いかけて躊躇した。顔が何だか引きつっている気がした。先の言葉が凄く気になる。けれど何だか聞きたくない気もする。でも聞かなければならないと思った。
「なんですか?監督?」
「霧野が、好きなんだ」
あんな事したのは好きだから。監督の口からそう放たれた。頭の中は真っ白。好き?好きって何だっけ。わからなくなっていた。監督の気持ちが本当なのかも分からない。
「ごめん…なさい。監督…俺、すきなひといます」
神童の存在を思い出した。そう、ずっと前から神童が好きだった。
「神童か?」
「えっ…」
どうしてわかったのだろうか。監督の顔がだんだん怖く見えてきた。
「答えろよ!」
そう怒鳴られた。怖くて縦に一回だけ頭をふった。そしたら帰れると思っていたが、そう甘くは無かった。監督は黒い笑みをして大声で笑い出した。びっくりして口をあんぐりしていると、監督が口を開いた。監督の声なのに監督じゃない他の別人みたいだ。
「なあ?俺は監督だぞ?わかってるよな?言うこと聞かなければどうにだってできる。お前も神童も」
「俺は…どうなってもいい。けど神童は巻き込まないで欲しいです…」
「ふっ、それでも神童の心配をするのか。」
「はい。」
「そうか。なら俺の言うこと何でも聞けるよな?」
「分かりました。」
嫌なんて言う権利はない。神童の為とは言え、望んだのは自分だから。何をされても監督の前では感情を出さない。自分の中で決めていた。それから始まった監督との奇妙な生活。朝はみんなより早く監督の部屋に行き、性行為をする。性行為は日常的に毎日された。練習のどんなに疲れたあとも容赦なく犯される毎日。何の意味があるのかは分からないが。
「んっかんとく、やあっそこだめえ」
「くっ、霧野…うっ」
激しい律動で頭がおかしくなるほど気持ちよかった。最初は気持ち悪かった筈なのに慣れと言うのは怖い。頭の中でこの行為は当たり前そう思うようになってしまっていた。
「かんっとく、だめえええっもうっでちゃっう」
「霧野っ…」
監督の白濁とした精液が注ぎ込まれた。ぐったりしながら監督を見つめた。やっぱり性行為をした後の監督はなんか変だ。ぼーっとしていて心ここに在らず。そんな感じがした。
「監督?」
「ん?どうした霧野?」
優しい口調で名前を呼んで頭をなでなでしてくれた。優しい監督は好きだ。
「霧野…ごめんな。もう…やめにしよう。今まで本当にごめんな。」
言ってる意味がわからなかった。終わらせたくない。最初は確かに嫌だった。けれど今は…監督が居なければだめかもしれない。なんで今更捨てるのかわからなかった。
「やだ。監督…捨てないで」
泣きじゃくりながら言った。ぎゅっと強く抱き締められた。抱き締められていて顔は見えなかったけど監督の声は震えていた。きっと泣いている、そう思った。震えながら、俺でいいのか。監督はそう聞いてきた。当たり前です。笑顔ではっきり答えた。監督は優しくキスをして笑顔を見せてくれた。
一方監督の心の中では、思い通りに進みすぎて可笑しくて声が震えていたらしい。それなのに気がつかず、まんまと罠に掛かってしまった。
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