不鬼→甘 | ナノ




「なあー鬼道くーん」

「なんだ?」

「ひーまー」

「まあそうだな…」


こんな他愛もない話しをしながら鬼道くんの家でゴロゴロ。それは毎日の習慣だ。けれど一応付き合っている…筈だ。恋人らしい行為は一度もしたことはないが。


「なんかしよーぜー」

「なんかってなんだ?」

そう聞き返されても困る。恋人らしいことしたいなんて死んでもいえない。

「物足りなそうな顔だな」

「えっ、わかる?」

「わかる。」

キラキラ目を輝かせて鬼道を見つめる。恋人らしいことさせて。目線で分からせる作戦に出た。

「だいたい不動の考えてることなんてわかる。」

「じゃあなんだよ?」

「恋人らしいことしたい。そうだろう?」

「ははっバレたか!流石鬼道くん。」

「褒められてもうれしくない。」

「いいじゃねえか!早くしよーぜ」

「…」


なんだか乗り気じゃない鬼道くんの顔に自分の顔を近づける。けれどそれと同時にそっぽ向かれる。何度繰り返してもそうなってしまう。なんだかもどかしい。


「鬼道くん?なんだよ?」

「別に俺じゃなくてもいいんだろ?」

「はっ?」

「だから、不動は恋人らしいこと出来れば誰でもいいんじゃないのか?」

「なんでそうなんだよ?」

「俺は、不動と一緒にいれるだけで嬉しいのに…」


ズキっと心に何か刺さった。鬼道くんの寂しさが今やっとわかった。謝ってもだめかもしれない。けど鬼道くんだからこそしたかった。それだけは本当のこと。泣き出す鬼道くんを抱き寄せた。


「ごめんな。そうじゃない。鬼道くんだからしたかった。でも鬼道くんが嫌なら良くなるまで待つ。」

「ふっどう…」

「勘違いさせてごめんな…」


まるで子供をあやすように頭を撫でた。鬼道くんの泣き顔を見てると自分まで悲しくなる。泣き止むまでずっと傍にいてあげた。そしたら鬼道くんは泣き止み、小さな声で耳元に何か囁いた。


「…す」

「ん?なんだ?」

「キスならしても…いい」


素直に喜んでいいのかはわからないが、嬉しかった。けれどまた泣かれては困るのでゆっくり慎重に。おでことおでこをくっつけて微笑む鬼道くんはとても可愛かった。


ちゅ。可愛らしい音を立てながらほんの数秒も唇が着かないようなキスをした。今はまだこれだけでいい。鬼道くんが傍にいてくれるから。



end


______________


黒猫様リクエストありがとうございます!甘を書かせてもらいました。
いかがでしょう?

またいつでもリクエストを
お待ちしております!

最後まで読んでくださった方
ありがとうございます!

そして黒猫様リクエスト本当に
ありがとうございます!

2012.2.12



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