不鬼/虐められっこの憂鬱 | ナノ





教室でポツリと一人机に向かい本を読む。一人が好きなわけでは決してない。ただ友達がいない。それだけのことなのだ。それがもう半年も続く為自分もクラスメートもそれが当たり前の光景だ。当たり前の光景はこれだけではない。もう一つある。


「鬼道クンまた一人で読者かよ?がり勉にも程があんじゃねえ」


ゲラゲラ笑いながら不動明王が言った。そうこれも当たり前の光景だった。最初はみんなもやめなよとか遠くで言っていたがもうこれは何度も言うが当たり前の光景なのだ。めんどくさいことが嫌いだから不動明王に何を言われても本から視線を動かさず全く反応もしない。それが一番いい。


「シカトとか上等じゃねえか、ちょっとこいよ鬼道クン」


胸ぐらを思い切りつかみ顔をわざと近くに持っていき威嚇するように言った。無視をしていたのに面倒くさいことになってしまったようだ。不動明王は俺の手を掴みトイレの個室に入れた。すぐに扉が閉められドンドン叩いても開かない。何か扉の前に思いモノが置いてあるらしい。ちょっと時間が経つと水が勢いよく降ってくる。ホースから流れてくる水は止まることを知らない。わざとほったらかしにして不動明王は帰ってしまった。滝の修行でもないのに何故こんな事をしなければならないのか。腹が立つがでることは出来ない。それは俺に友達がいないからだ。そして一時間が終わるチャイムがやっと鳴ってくれた。すると不動明王が現れた。


「鬼道クン、ちゃんと綺麗になれた?」


答えるはずがない。と言うか答えられない。寒くて口がうまく動かないからだ。不動は一つ一つトイレの前の重しを取っていく。するとトイレの扉が開いた。くたっとしている鬼道を見て、顔を歪めた。不動は少しやりすぎたなと思っていたからだ。けれど毎回毎回教科書を隠されたりノートに落書きされたり、机の上にゴミをのせたり、鞄に虫が入っていたり。俺にはもう限界だったのかもしれない。ふらっと立ち上がり不動を無視して教室に入っていった。


「もうこんな生活はうんざりだ」







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→虐められっこの消失に続く。




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