▼不鬼 “目” | ナノ
俺はあいつの目が嫌いだった。見つめられると時間が止まったかのようになる。張り詰めた空気になりその中で見つめ合うのは嫌いだ。
『不動、これ忘れていたぞ』
差し出した手には俺のタオルを持っていた。鬼道クンは確かに俺を見ていた。目を合わせてしまったらまたあの嫌な張り詰めた空気になる。成る可く目を合わせないよう体だけ鬼道の方に向けた。
『ああ、わりいな』
素っ気なく手からタオルを取り上げた。目を合わせていないのに空気が冷たく感じて部室の匂いが鼻につく。鬼道が顔を覗き込んできてどうした?とキョトンとした表情をしている。
『じゃあ、俺は帰る。またな』
クルッと反対を向いて帰ろうとしたとき誰かが部室に入ってきた。円堂だった。二人は俺がいる事を忘れているのかと思う位に話しいっていた。目と目を合わせながら楽しそうに話す姿を見ると俺の心臓は怒涛のように動き出した。鬼道と目を併せられない俺と円堂と目を併せる鬼道。そんな光景を見てもなんとも思わない筈だったが何かが俺の頭の中でキレた。自分でもまだ状況を理解しないまま行動をした。
話しの最中にも拘わらず鬼道の手を引っ張り俺の家に引き連れた。抵抗する声がうざったく痕に成るくらいに力強く引っ張った。
部屋に着くなり鬼道クンが声を荒げた。
『ふふどう、なんだいきなり』
驚きを隠せない鬼道クンを壁に押し付け目を見つめた。相変わらず綺麗な目をしている。
『鬼道クンの目見てると不快になるんだよなんでか分かるか?鬼道クン』
いきなり過ぎて吃驚している鬼道に追い討ちを掛けるようにゴーグルを無理矢理引き剥がした。それには鬼道も抵抗していた。
『やめろ不動、俺の目が嫌なら見なければいい話だ。俺はもう帰る』
『帰らせるわけねえだろ、鬼道クン馬鹿だな本当』
鬼道クンは俺を睨みつけている。円堂には絶対にしない顔で俺を見ている。鬼道クンの目さえ俺だけをみてくれたらこんな事には成らなかった筈だろう。
『鬼道クンその綺麗な赤い目貰ってもいいか?許可を得るつもりはねえけど』
びくりと鬼道の肩が震え上がっている。さっきのような生意気な口調も消えて言葉を発さない。顔面蒼白で俺の顔を見ている。
『さて、どうやって鬼道クンのその目を剥いてやろうか、考えるだけで楽しいな』
『ややや、やめろ不動!バカなことを…』
『やめねえよ、鬼道クンの目は俺だけのモノにしてえもん』
そう言った瞬間鬼道の目にナイフを突き刺しぐるりと抉り出した。ぐちゃぐちゃグチャグチャ奇怪な音が鳴り響いた。その音さえも不動には心地よく聞こえた。
『うぎゃああああああああああああああああああふどやっめろうあああああああ』
冷たい部屋に響き渡る鬼道の呻き声。声が枯れてしまったか何時しか聞こえなくなってしまった。もっと聞いていても全然苦ではない。寧ろ聞いていたい。
まじまじ抉り出した目を見てニヤリと笑いもう一つの目にナイフを突き立てた。抵抗する力もなく気絶をして倒れ込む鬼道を見て虚しい気持ちと嬉しい気持ちが入り交じっていた。けど後悔はしていない。何故なら…
『これでもう俺の事しか見れねえな』
そう思うとなんだか鬼道クンの特別になれた気がしたからだ。優越感に浸りながら抉り出した目に語りかけた。
『鬼道クン愛してるぜ』
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あわわ、これはまずい話ですね…
兎に角グロい!
不動さんちゃんと気持ち伝えれば
良かったのにねとちょっと思い
ますよね…
最後まで読んで頂いた方
ありがとうございました!
2011.12.02