マサ蘭 | ナノ





最近なんだか霧野先輩が怪しい。
もしかして…浮気しているのかも
挨拶しても反応薄いし、なにより
一緒に帰ってくれなくなってしま
ったのだ。こんなの浮気以外あり
えないよ、証拠見つけなくちゃ!

「霧野先輩!」
「ん、なんだ?」
「今日こそ一緒に帰ってくださいよ」
「ああー…用事あるから無理…」
「また用事ですか?」
「ああ…」

顔をそらされた。嫌いなら嫌いって
言えばいいのに。好きなのは俺だけ
なんだね。せっかく両思いになれた
と思ったのに…

「…嫌いなら嫌いって言えよ!」
「はっ?」
「もう、いいです。無理矢理付き
合わせてすいませんでした!」
「…」

走り去る俺なんかお構いなしか…
追いかけてもくれないし、なにも
言ってくれなかった。やっぱり、
俺の事嫌いになったんだな。明日
霧野先輩と顔あわせにくい。あん
な風に逆ギレしたりして…最低。





次の日。やっぱり部活行きたくない
でも行かなきゃもっともっと嫌われ
るよね。昨日の事ちゃんと誤らない
と。けど霧野先輩を前にするとやっ
ぱり無理だ、顔を背けて知らないフ
リして歩いてしまっていた。結局練
習中も一度も話さないまま終わって
しまった。霧野先輩も全くこちらに
興味を見せなかったからもう関係は
ないにも等しいかった。

「おい、狩屋?」
「…」
「無視するなよ…」
「してないですよ、なんですか」
「機嫌悪いな。どうした?」
「どうした?って!…別に。」
「悪い、昨日のことだよな?」
「違いますけど」

終始苦笑いの霧野先輩。なんだよ。
そんな苦しそうな顔して笑うなよ。
もう話し掛けて来なくていいのに…
優しさとか同情なんていらないから
もう…ヤメテクダサイ

「あの、狩屋」
「なんですか」
「あの…な、ほら、今日…」
「今日?なんですか」
「忘れちゃったか?俺たちの記念日」
「へっ?」
「だから、コレ」
「ゆ、指輪!?」
「あはは、バイトはできないから
家の手伝いでお金貰って買ったんだ」
「…」
「だから、構ってやれなくて
悪かったな」
「…霧野先輩。う゛う゛…」
「ちょ、泣くなよ。ほら抱き締めて
やるから!」

霧野先輩にぎゅっと抱き締めてもら
った。霧野先輩の心臓ドキドキいっ
ててなんだか心地いい。今までの不
安なんてなにもなかったように消え
てしまった。こんなサプライズがあ
ったなんて知らなかった。もっとも
っと霧野先輩が好きになった。

「霧野先輩大好き!」
「はは、それは良かった。俺も
お前だけが大好きだ。」
「浮気してるって疑ってごめんなさい」
「え?狩屋〜」
「でももう大丈夫です。
心配なんて全然してませんから!」
「まあな、俺も悪かったからな…」

次の記念日はどんなサプライズで
驚かせてくれるのかな。


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最後まで読んでくださった方
ありがとうございました!



2012.08.12