デアイ系? | ナノ




「アナタとあってみたいです。」

送信。意を決して送信ボタンをいつも
より長く押した。そうでなければ、
きっと中止していたかも知れないから
さっきから問い合わせばっかりだ。
いまだに来ないメールを待って、もう
2時間近くは過ぎた気がする。それで
もなおケータイから目が離せない自分
に溜め息が漏れる。やっぱりだめか…
ケータイをベッド放り投げるとバイブ
がなった。賺さず投げたケータイを拾
いメールの内容をみた。

「いいですよ。俺も会いたいです」

確かにそう書いてあった。胸の鼓動が
うるさくてうるさくてなんてメールを
返せばいいか解らなくなっていた。

「どーしよ!本当に返信が来るなんて」

でっかい独り言を漏らしてケータイの
画面に集中した。文字を押す手が震え
てなかなかうまく押せない。誤字脱字
がないか隅までチェックして送信した

「ありがとうございます!
いつ頃なら予定あいていますか?」

ちょっと積極的過ぎたのかな?でも
悔いは残っていない。後はまた返事
を待つのみだ。今回はさっきよりも
随分と早く返事が来た。

「詳しくは明日またメールします。
明日用事があって朝が早いので、
今日はこの辺で。」

そう来た。ああ、そう言えば俺も
明日早いんだった。部活あるの忘れて
いた。じゃあまた明日します。そう送
ってケータイを閉じた。明日は何時頃
メールしようかな。なんてことばかり
考えていたらいつの間にか朝になって
いた。急いで用意して走って学校へ行
く。最早遅刻ギリギリだ。部室に滑り
込むと剣城も今来たみたいだった。

「剣城も遅刻?だめじゃん!」
「お前が言うな、俺はもうグラウンド
行ける準備してあるんだ。」
「えっ、嘘!待ってよ〜」
「待たない。早く来いよ?」
「わかった!」

剣城が部室から出て行ってしまった
ちょっとくらい待ってくれたって、
いいじゃん。文句を言いながらどう
せ遅刻ならメールを打ってから行こ
う!そう思った。ケータイを取り出
しあの人にメールした。

「おはようございます。昨日のことで
メールしました。」

送信。すると誰かの鞄からバイブ音が
した。確かさっき剣城がいたところ?
鞄を開けてケータイを見てみるとメー
ルが来ていた。内容は、俺が送ったの
と同じ文だった。嘘…今まで剣城と
メールしていたのかと思うとなんだか
剣城が気になってきてしまう。どうし
よう。あたふたしていると部室の前で
足音がした。慌てて剣城のケータイを
元に戻した。

「天馬おそいぞ?」
「ああっ、ごめん…今行く」
「ならいいけど?」

そう言って剣城はケータイを見た。
剣城がケータイ見てる!どうしよう
返事するのかな?もし返事来たら
剣城にバレちゃうよね。やっぱり
剣城から返事が来た。バイブ音が部室
に響いてどうしたらいいかわからない

「お前ケータイ鳴ってるぞ」
「う、うん‥今見ようかなって」
「待ってるから早くしろよ」

恐る恐る開いてみると、俺のケータイ
勝手に見るな。天馬だってこと始めか
ら築いてたから驚くことじゃねーぞ。
そう書いてあった。えっ?そう声を漏
らすと本当に築いてなかったのか?と
真剣に言われた。普通築く方が変だよ
剣城の頭を小さく叩いた。

「俺はお前だから会いたいですって
言ったんだぞ?意味分かるか。」
「わかるよ、多分…」
「わかってねえだろ。仕方ないから
言ってやるよ。お前が好きだ」

どうしよどうしよ顔に手を当てて必死
で赤くなっているのを隠す。剣城に告
白されちゃったよ。剣城があんまりに
も真剣な顔するから…おかしくなる。
剣城を好きじゃないって言ったら嘘に
なる。それは好きってことなのかな?

「で、天馬の答えわ?」
「好き…なのかも」
「はは。まあ、今はそれでいいや」

お前を絶対振り向かすからな。そう
宣戦布告されてしまった。

「あっ、練習早く行かなきゃ!」
「用意遅すぎんだよ…」
「わああ。一時間も遅刻だ!」
「さすがに監督に怒られるな…」

そして、監督にこっぴどく怒られたの
は言うまでもない。


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最後まで読んでくださった方
ありがとうございます!

2012.08.08