これで最後と繰り返す(南蘭裏) | ナノ




お互いがお互いに大切な人がいる
なのになんでだろう、求めてしま
う。駄目だとわかっても止まらない
理性がきかない。こんな関係止めて
壊してなにもかも無くしたいのに…

「霧野?今日も…ちょっとだけ」
横目でチラリと南沢さんを見る。
ちょっとってどこまで?そんなの
嘘。ちょっとちょっと言って最後
までするんだ。いつもそうだから
「ちょっと…だけ?」
わかっている。わかっているけど
断れない。こんな馬鹿みたいな
関係がずっと続いてる。
「練習終わったら部室いろよ」
「…」

黙って聞いているとおでこにキス
された。ああ、なんでこんなとき
だけ優しいの?ずるいよ南沢さん
余計に泣けてくるんだよ。お互い
恋人がいて満足している筈なのに
すると部室のドアの近くで声が
した。スッと唇を額から離した。

「南沢さん!なにしてるんすか?」
南沢さんの恋人の倉間が迎えに来た
「ああ、別に…わすれものしただけ」
「ふーん早く行きましょー」
振り向きもしないで倉間と部室を後
にした。取り残されて自分だけ戻っ
てこれない気がした。助けて神童…
こんな暗闇から早く抜け出したいよ
自然に涙が零れ落ちてきた。悲しく
ない筈なのに。なんで?

「霧野…!?なんで泣いてる」
「神、童…」
震える肩を優しく抱いて、涙を
拭った。怖く怖く神童を強く抱いた
「大丈夫か?」
「ごめっ大丈夫…だから」
「練習ちょっと休めよ?」
「ああ、わかった。ありがとな」

こういう時ほど神童は優しくて
だから甘えたくなるんだ。神童
から離れたくない、なのに南沢
さんと…自分の意志の弱さに、
腹が立つばかりだ。

「じゃあ俺、帰るな?」
「ああ…ありがとな」
「そんな顔して、強がるのやめろ」
「心配かけたくないんだ」
「大丈夫…どんなお前も愛してる」

愛してる。ただ一言だけでもこんな
嬉しいなんて初めてしった。今まで
言われた愛してるの中で一番嬉しい
俺はありがとう、のどの奥でなにか
つっかえていたがそう言った。
そうして愛しい神童の後ろ姿を見送っ
た。

「やっと帰ったか」
聞き慣れた声に振り返ると、やはり
南沢さんがいた。今の一部始終を…
まさか見ていたのか?けれど言葉に
ならないまま飲み込んでしまった。
「帰り…ました」
「なら、始めよう」
「…っ、はい」

あんなにも嬉しかった愛しているの
声も何故か頭から離れていくんだ。
好きな筈なんだ。きっと、南沢さん
だって倉間が居なければ駄目になる
わかっている筈なのにな…

「んんっひ、みなみさわっさん」
「今日はいつもより感度がいいな」
「あっ、そこっんんーいいっ」
「ここか?ほらもっと喘げよ」
「はああっみっああ、」

どこで覚えたのか南沢さんは俺の
精液を掬って慣らすようにそこに
塗り込んでいった。

「淫乱だな、お前のココ。
二本余裕で入るなんてなー」
「だっれのせい、だよっんああ」
「無駄口叩いてないでもっと感じろ
よな?」
「もうっああ、だめそこいやあ…」
「ここがいいの間違いだろ?」

そう言うとそこばかり集中攻撃する
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃと掻き回
されて、卑猥な音で頭が狂いそうだ
もっと欲しいなんて…南沢さんのが
欲しいだなんて。とんだ淫乱に成り
下がってしまったみたいだ。

「どうだ?俺の欲しい?」
「う゛う゛ああっはあんっや」
「言わなきゃあげねーから」
「いっじわる…欲しい…」

ニヤリと口角を上げて笑った。
その瞬間ぐちゃぐちゃになった
そこに南沢さんのがあてがわれた
躊躇なく俺の中に侵入した。
深いところから入り口で出入りを
繰り返す。感情のないこの行為に
なんでこんなに快楽を得るのか。
だんだんと律動が速まってきた。
南沢さんが俺の腰を持つ手に力が
加わる。俺も必死で壁につく手に
力をいれた。

「あああっみなみさわっさあんっ」
「お前の中最高…もうすぐ…」
「おれもっもうだめっ」

南沢さんが俺の中に白濁した精液を
出した。中に熱を持ってるみたいに
熱くてまだ南沢さんと繋がっている
みたいだった。でももう最後にする
と言わなければならない。こんなに
弱い奴にそんな勇気があるかと言え
ばまだ今の所は無理かもしれない。
でもいいたい気持ちはある…

「南沢さん?」
「なんだ?」
「倉間のこと…愛してる?」
「いきなりそんな事聞くか?」
「ちょっとだけ気になったから」
「あーあ、わかんないな」
「なんで…だ?」
「まあ、お前に気持ち揺らいでるって
言うのが確かなのかな?」
「…」
「迷惑か?」

その問い掛けに首を横に振って
しまった。迷惑じゃないと…。

「そうか、なら考えとけよ」

そういって部室から居なくなった
別れを告げるために部室に残って
いたはずなのに…自分の不甲斐な
さにむかつきを通り越して呆れた

「さいてー。」

そう呟いて暗くなった部室を後に
した。



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最後まで読んでくださった方
ありがとうございました!


2012.08.06