速浜 | ナノ







「速水ー早く帰ろー」
「待ってくださいよ、浜野くん」
「おせーよー」
「はいはい、今行きます」

足早に部室から出て行き、浜野君を
追いかけた。こっちこっちと、手を
ぶんぶん振っていた。元気だなー。
なんて独り言を言いながら、苦笑い
部活の後でもこんなに元気なのって
浜野くんしか居ませんよ。そう言っ
て顔を見つめた。そうか?なんて口
をあんぐり開けている浜野くんは、
母性本能をくすぐるばっかりだった
ただ帰るだけなのにこんなに幸せな
気分になれる。それは浜野くんと、
一緒だからなのかな?そう思った。

「ちゅーか速水ニヤニヤしてる」
「浜野くんが可愛いからですよ」
「えーなにがー?」
「わかりませんよ、なんとなく」

ふーんと言ってまたよそ見しだす。
キョロキョロキョロキョロ目線が
行ったり来たりしていた。もっと
見てほしいなー…なんて、声に出
してしまった。恥ずかしくて顔から
火がでてしまいそうだった。けれど
浜野くんは聞いてなかったみたいだ
ちょっと残念な気がして、浜野くん
を見つめた。

「ちゃんと聞いてたけど?」
「へ?なにをですか?」
「だから、見てってやつー」
「え?あ?うわあー恥ずかしい」
「見てるから、いっつも」

浜野くんには珍しい真顔でそう言う
なんだかうれしくなってそっと手を
繋いでみた。ぎゅうっと握り返す手
がなんだかいつもより大きく見えた


「浜野くんだいすき。」
「ん?なんか言ったー?」

なんにもないですよ。そう言って、
繋いでいる右手に少し力を入れた。






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激甘ですねー。たまには
こういうのも癒される気が…
読んでくださった方ありがとう
ございます。



2012.07.29