天京グロ? | ナノ





今日もサッカー部が終わりになる頃
虐めが始まる。嫌だと言ってみても
何度となく謝っても止めてくれない
最低な遊びが始まるのだった。

「剣城ー、ほら早く!」

真ん丸な瞳を更に大きく開きながら
松風はそう言った。心の中では、
行きたくない。行ったらだめだと。
けど行かない訳にはいかない。もし
行かないとなると天馬にどんな酷い
ことをされることになるか。きっと
行ったところで何も変わらないが、
松風の機嫌を損ねてしまうよりは、
断然ましだと思うのだ。

「遅いよ、剣城?お仕置きだよ」

満面の笑みでそう言った松風の顔
は、なんとも言えないすごい顔を
していた。すでにもう、機嫌を
損ねていたらしい。はあ、最悪だ

「松風、なんだよ?」
「おそーい、剣城ー」
「悪い…」
「ふーん、思ってないくせに」

鋭い形相で睨まれた。腕を力強く
掴まれ、威嚇するように顔を近く
に寄せた。噛みつくような勢いの
キスはなんだか痛かった。角度を
変えるにも乱暴で松風に唇全てを
取られてしまうような気がした。

「ごめーん、口から血でてるね」
「…っ」

俺の口を見ながら微笑して言った
唇を袖でぐっと拭い松風を睨む。
なにその目と言いながら、近づく
松風の顔は自分以上に鋭い顔を、
しているような気がした。

「別に…」
「あーイライラする。」
「…」
「剣城のせいだからね?」

責任とって。なんて身勝手な意見
に文句一つもいえない自分に笑う
無理矢理押さえつけられてもなお
抵抗できない。今日はいつになく
大人しい、なんて松風に言われた

「ねえ?剣城これ、見てよ」

目を松風の手に向けた。なんだか
それは見てはいけない物に見えた

「…それは」
「ふふ、ナイフと薬」
「そんなのどうやって…」
「どうって?剣城で実験♪」

口調は冗談っぽく言ってはいるが
目は冗談に見えない。逃げなきゃ
そう思っても足が動かない。
それどころか立ってもいられない
くらい足がガクガクしてきた。

「剣城辛い?薬の効果が
出てきたみたいだね。」

朦朧とする頭の中で松風の笑い声
が響いた。今から楽にしてあげる
確かにそれだけ聞こえた気がした


「…て、起きてよ」

ハッと目を覚ますと手錠と足枷が
つけられていた。足を動かしても
ジャラジャラ音を立てるばかりだ
これで一切の抵抗はできなくなる
それをいいことに松風は手際よく
服を脱がしていく。ひとつひとつ
丁寧にではなく、乱暴にナイフで
斬りつけながら邪魔な肌着を、
とっていく。今日の松風はいつに
なく狂っている気がした。

「お前今日おかしいぞ?」
「だって剣城と同じ薬たーくさん
飲んだんだよ?」
「なっ、なにやってんだよ」
「別にいいじゃん。ふあふあ
気持ちいいしー」

完全におかしくなっている松風を
見てなんだかここにいてはだめな
気がした。これから何されるのか
考えるだけで身震いしてしまう。
どうしたら松風は元に戻るのか。

「あー剣城!勃起してるーへへ
触っちゃえー」
「あっ、やめろ松風!」
「やあめないっ♪」
「おい、正気に戻れよ!」

そう言うと松風はナイフをペロリ
と舐めた。舌からは血がたらっと
流れ出していた。その血を見て、
肩がゾクゾクと震えた。
松風のはにかむ笑顔が余計に怖さ
を増している気がした。

「ならさあ、剣城がどうにかして?」
「どうにか…か、」
「俺を正気にさせてみてよ?」
「わかった。」

何故だか松風を元に戻したい。
強く強くそう思った。
いつも虐められていただけなのに
それでも助けたい。やっぱり松風
は、俺の恩人だから。だからな、
俺もお前の恩人になりたいんだ。
そう言って優しいキスをした。

「そんなんじゃ…あれ?なんで?
なみだ…なんか?」
「松風?」
「うるさい。うるさい、うるさい!」
「松風戻れよ。お前を待ってる、」
「うるさいんだよ」

ナイフをぶんと振り回す手を掴む
天馬愛してるぞ。なんてキザに
微笑んで固定している松風の手を
引き寄せた。グサリとエグい音と
同時にドサッと倒れた。

「つ…剣城!」
「しょう、きに戻った…か?」
「嫌!ごめんな、さい」
「いんだよ、お前が戻れば」
「剣城、剣城。俺…」
「知ってたよ、お前俺が好きなんだろ」

松風は顔を赤くして頷いた。
嬉しくて嬉しくて松風を撫でた。
言うこと聞かない重たい手を、
無理矢理動かして松風の唇を
なぞった。俺もお前を…愛してた

「剣城、ごめんなさい。
俺も剣城がだいすきだったんだ」

泣きながらそう言ったけど、もう
剣城は頷いてはくれなかった。



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最後まで読んでくださった方
ありがとうございました!

2012.08.02